古い懐中時計

 

 

機械式時計という言葉をご存知ですか?

アンティーク時計を知っていただく前に、「機械式時計」という言葉をご存知ですか?
今お持ちの時計はどんな時計でしょうか?
デジタル表示されているものや、針が動いているもの、時計は持たずに携帯電話で時間を確認される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1970年代以降にお生まれになられた方は、物心がついた頃には、時計はすべて電池で動くものではありませんでしたか?
それより少し前の年代の方でしたら、お父様が時計のリューズを巻いていたのを覚えていらっしゃるのではないでしょうか。

古い黒電話

家にある電話は黒い重たい電話で、ダイアルをジーコジーコと回して電話をかけていた。
公衆電話があちらこちらにあって、携帯電話なんて無かった頃が、今となってはもう遠い昔のようです。
携帯電話が主流になってから10年ほど経つと、電話事情もすっかりと変わり、黒電話は今や過去の遺物になってしまいました。

 

時計も同じように、実は70年代頃までは手巻き時計。
今お店に並んでいる時計とは、姿や形は似ているものの、その作りがまったく違う、ぜんまいで動く時計が主流だったのです。
お持ちの時計が電池で動く時計なら、時計が止まってしまうこともまれで、数年に一度くらい電池を入れ替えるくらいではないでしょうか。
それに対してぜんまいで動く時計、機械式時計は、いっぱいに巻かれたぜんまいの反発力で動いているので、毎日ぜんまいを巻き上げてあげる必要があります。
ぜんまいのほどけていくときの力が、歯車などの時計の各部品に伝わり、正確な時を刻んでいるのです。

腕時計の機械

時計の蓋を開けると、そこには電子基板や回路といった、理解できない部品は存在しません。
分解していけば、全てが歯車やネジなどの小さな金属の部品に分かれる、それが機械式時計の作りであり、「機械式」と呼ばれる所以です。
時計に耳を当ててみて、コチコチと時を刻む音が聞こえる。それが機械式時計の証です。

 

 

アンティーク時計とは

アンティーク時計にはさまざまな定義がありますが、非常に歴史の古い懐中時計時代のものから、1960年頃までに作られた機械式時計のことを指します。
古くは懐中時計からアンティークな雰囲気やレトロな作りの腕時計まで。
毎日一度じっくりとぜんまいを巻いてあげて、時計がコチコチと元気に動いている音を楽しむ。

いろいろなアンティーク時計

がっしりとした重厚な作りの懐中時計、繊細な彫りがありまるで美術品のような懐中時計。
腕時計の初期の非常に個性的な腕時計、そして全盛期の華やかなまでの多種多様な腕時計。
作られた時代が違えばデザインが違い素材も違う。
そしてその時代ごとに、技術的にできること・できないことという制限もあり、時計の外観も年代が違うと大きく変わります。
古くは一つひとつを職人が仕上げるため、生産できる数も限られていた時代があり、そして量産できる時代になったとはいえ、それでも手作業の一歩先という時代のもの。
生産性よりもデザインや作りを重視したもの。
そして60年代に入ると、生産できる数も変わり、それに伴ってデザインや作りも簡素化されていく。でもそれが昭和年代の特徴であるかのようなレトロ感を漂わせる。
時代を追っていくと、時計のケース一つや装飾をとってみても大きな違いがあり、古くは彫りなどが多用されていた装飾が、型を取る形での装飾に変わり、ただ単に丸や長方形であったものが、カーブをしたものや特殊な形のものが現れてくるなど、技術の違いが時計のデザインの違いに如実に現れてきます。

本を読む男性

その時代ごとに違う時計の形やデザインを、ありのままに受け入れて楽しむ。
そして骨董品やアンティーク雑貨を楽しむように、その時計が培った風格を楽しむ。
現代の時計とは全く違う、それでいて現代からみると、非常に斬新でかつ新鮮な作りを持つのがアンティーク時計です。

 

 

アンティーク時計と呼ぶに相応しいのは

懐中時計が一般に普及した1900年前後、もしくはそれ以前の懐中時計、腕時計の初期で黎明期の腕時計が楽しめる1920年代、そして腕時計の全盛期ともいえる1940年代、大量生産時代に入りクォーツや電池式時計にその座を明け渡すまでの1960年代。
当店では特に、ここまでの年代をアンティーク時計と呼んでいます。

その理由は機械式時計であり、桁の違う大量生産が行われる時代より前に作られた時計こそが、アンティークと呼ばれるに相応しい作りを持っているからです。
デジタル時計に慣れていると、時計に誤差が出るということ自体が有り得ないことではありませんか?
時計の歴史を紐解くと、それこそ古くは「いかに精度を出すのか・誤差の無い時計を作るのか」という点に焦点が置かれた、技術開発の歴史だったのです。
各メーカーが各々で工夫した機械を作り、特殊な機構を作り出し、より信頼性の高い機械・時計を作り出す。
それがいつしか機械としての作りは完成を迎え、より壊れにくい作りと機構を生み出し、さらには莫大な数を作りだす超大量生産時代へと移り変わっていきます。
1960年代頃から、自社で機械を作ることをやめるメーカーが増え、メーカーが違いケースや文字盤などの外観こそ違うものの、実は中の機械は同じという時代へ移り変わっていきます。
時計がクォーツ・デジタルといった電池式の時代へ移行したことも大きな引き金となり、その流れは大きく加速されていきます。

 

現代の新しい腕時計

現代の時計が、どの時計も同じように見えてしまうのは、このように外側こそ違えど中身は同じ機械を使っていたり、売れるデザインのものを「大量に作れる形にして作る」という大量生産という弊害によっておこされているものでもあるのです。

確かに時代が進めば、初期のクォーツなど電池で動く時計はもちろん、今お使いのデジタル時計ですら、アンティークと呼ぶに相応しい時代が訪れるはずです。
しかしながら、クォーツやデジタル時計は携帯電話やゲーム機などと同じで、電子基板や回路が障害となり、機械式時計のように数十年はては100年といった期間を正常に動かすということはほぼ不可能です。
そのため、当店では1960年代以前に作られた機械式時計をアンティーク時計と呼び、特にこの時代に特化した時計の取り扱いをしています。

 

 

当店で扱うアンティーク時計にはこんな特徴があります

当店で扱う時計や懐中時計のチェーンなどは、利用されることが前提の高級装飾品・貴金属でした。
使わない・メンテナンスされないまま数十年という長い年月に渡って放置されると、錆び・劣化してしまうものであったため、コイン・陶磁器などのアンティークで見られるような、ミント・未使用といったコンディションのものはほとんどありません。

当店で扱う商品は、全て実際に使用されていたアンティークです。
作られてから数十年・古いものでは100年を経過しています。
そんなアンティーク時計・商品を、現代で実際にかつ快適にお使いいただくため、オーバーホール・調整・修理・研磨といった複数の工程を行ってお届けしています。

古い腕時計

使用に問題がある・外観に使用に耐えない損傷がある、後日メンテナンスで支障があるような場合には、商品によってはより良い状態でご利用いただくため、修理や復元作業を行っています。
ただし、復元作業によってオリジナル・アンティークの雰囲気や色合いが損なわれる場合がありますので、アンティークの味として見ていただくべき箇所については当店の判断で復元作業を見合わせているものもあります。
商品については万全を期しておりますが、アンティークという性質上、下記のことについてご理解いただきますようお願いいたします。

 

 

アンティーク時計に関するご注意

アンティーク時計は、作られた当時の性質・技術上、防水機能は備わっていません。また仮に備わっていたとしても、長い年月の経過によって、その機能が失われていることがあります。
ご使用・保管される場合は、できるだけ湿気・水気の無いところでお使いください。
時計内に水滴が入った場合は、錆びが発生しますので、できるだけ早くオーバーホールをお受けください。
磁気についても同様で、強い磁気の発生する機器近くでの利用・保管は避けてください。

また現在の時計の主流となっているステンレス製とは違い、比較的柔らかい金などの高級貴金属が使われていますので、傷付きやすい環境でのご使用もお控えください。
湿気のある場所・傷つきやすい環境で時計を使用する場合は、アンティーク時計の利用は控え、新しいステンレス製のクォーツやデジタル時計をお使いいただくことをお勧めいたします。

 

 

アンティーク時計に関するQ&A

アンティーク時計を使うのは難しいですか?

本来の時計の機能は、時刻を見るためだけですから、操作自体はかなりシンプルです。
1日に1回、20回ほどリューズを巻いて、ぜんまいを巻き上げていただくだけです。(回数は時計によって違います)
定期的なメンテナンスとしては、できれば3年に一度、長くても5年に一度は、オーバーホール(定期検診)を受けてあげてください。
 

誤差がありますか?

作られた年代や作りによっては機械が出せる精度の限界があり、古いものほど姿勢差による誤差があり、時計の縦向き・横向き、歩く時の手の振りなどによっても誤差が生じます。
また長い年月を使われていること、何人もの持ち主やメンテナンス技術者の手を渡っていることから、摩耗や修理状況によっても誤差が出ます。
それこそ時計個々によって違いがあり、良いものであればほとんど誤差なく動くものや30秒前後というものもありますが、正しくメンテナンスされたものであっても、古いものであれば1日に3分前後、40年代以降のものであれば30秒から2分程度まで、時計の状態や姿勢差のこともあり、その程度の誤差があると思っておいてください。
誤差を許容できない、楽しんでいただけないお客様には、アンティーク時計はお勧めしません。

 

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