ETAのマーク

 

 

ETA・エタとは?

アンティーク時計や機械式時計を手にしていただくと、やはり色々と調べたくなってくるもの。
少し機械について調べだすと、ETA(エタ)という言葉に出会うことがあるのではないでしょうか。

エタは、時計の機械を専門に作るメーカーで、多くの時計メーカーがこのエタ製の機械を採用していることで知られています。
古くは、機械は時計メーカー自身が作るもので、それが各メーカーの技術の証ともなり、特徴・個性でもありましたが、技術の進歩や業界の統廃合の結果、現在では多くの著名メーカーが「機械専門メーカー」が作った機械を採用しています。
エタはその機械専門メーカーの1つというわけです。

メーカーの部品

エタの歴史は古く、その長い歴史の中で、多くの機械製造メーカーが吸収・合併されて現在の形に至ります。
時計メーカーによっては比較的古くからエタ系列の機械を採用していたところもありますが、クォーツやデジタルなど電池式時計の時代になると、それまで機械式の機械を採用していた時計メーカーは、自社製造をやめてエタ製を採用するメーカーが急激に増えていきます。
そして機械を専門に製造するメーカーも、時代の流れの中で多くが行き詰まり、製造メーカー自身もその多くがエタに統合されていきます。

比較的新しい年代の時計が、「どの時計も外側が違うだけで、内側の機械は同じ」と言われるようになったのは、こういった時代の流れがあったためです。
特にエタの名前が知られているのは、大手著名メーカーはもちろん、廉価的なメーカーのものまで、数多く採用されていることからです。

 

 

エタの機械は良くない?

いろいろ調べていくと、エタの機械は良くない・価値が無いなどと書かれていることがあるのを、目にされることがあるのではないでしょうか?

そのように言われる理由は、時計の機械は「そのメーカーの機械であるべき」で、それにこそ価値があるという考え方が根本にあります。
元々は時計メーカー自身が機械を作り、時計の歴史を紐解いてみても、その精度や信頼性を競っていたもので、時計の価値は機械にあると思われていた時代が長かった。機械式時計に関しては、そのほとんどの時代でそのように考えられていたという点が大きいでしょう。

1900年頃の時計の選び方といえば、精度や耐久性にその基準が置かれていて、各時計メーカーがどこまでの精度を出せるのかを競い合っていた時代のこと。
当然メーカー間での精度の違いもあり、信頼のある時計メーカーが選ばれる、良い機械が選ばれるのは必然であったと言えます。
現在では、誤差が無くて当たり前という時代になりましたが、その考え方は長く引き継がれていき、特に時計好きな方やマニアの方、アンティークや骨董品という世界では、自社製の機械であることに価値が見出されるようになりました。

現在で例えるなら、純国産の車があったとして、その車はすべての部品を国内で製造しているとなった場合、そのことに価値が生まれ、その車が非常に高価で貴重になることに似ているかもしれません。

 

精度や性能は?

それでは、エタ系列の機械は精度や性能が良くないいのでしょうか?
エタが悪い・良くないと言われることはよくありますが、実はそんなことは一切ありません。
精度や作りが同世代の他の機械と比べて悪いのかというと、全くそういうことではなく、あくまで機械専門に製造するメーカーの機械であったという「立場の違い」です。

年代によっては、エタの前身、また吸収合併された各社によって、機械にも違いがありますので、アンティークに関しては、製造した系列メーカーによっての違いはあります。
また製造された時代によっては、その時代に流行りそしてのちに正しくないということで、廃れた形や素材などもありますが、それは時計メーカーの機械も同じですので、あくまで時代によっての違いがあったというものです。

系列の中には、クロノグラフでは圧倒的な採用率を誇るエタ製の機械もあり、機械製造メーカーならではの作りのしっかりしたもの。
時計メーカーや機械製造メーカーの中には、エタの機械を真似て自社製としてしまったところも実際にあります。
ただ単に機械の性能として見たときには、まったく遜色のないものです。

 

エタのカタログ

 

エタのほうが良いこともある

現行品、新しい時計では、多くのメーカーがエタを採用していますが、それ自体は実は決して悪いことではなく、現在では「良いこと・歓迎するべきこと」だと言える点が多々あります。
その理由は、現在の新しい時計では、ファッショ系等の高級ブティックブランドでも時計が販売されていますが、コスト面などから、エタなどの機械専門メーカーではない機械を採用するところも増えています。

時計の機械の「構造や作り」はすでに古い技術であり確立されている、すでに完成されているといっても過言ではありませんが、作り上げた「機械」が正しく動作するのは、基本がしっかりと押さえられていてのこと。
時計としての基本的なところを押さえられずに製造されたものは、本来オーバーホールなどで分解されるべき部分で、固い素材の部品が使われるべきところに柔らかい素材が使われてしまったり、分解できないような作りになっていたりすることもあるため、歴史のある機械専門メーカーであるエタの機械が断然に良いことが多々あります。
中国製やロシア製などの質や作りの良くない機械が、数十万円といった高額な時計にも採用されていることがあり、販売する時点から問題がわかっているものの、そのまま販売されていることがあるのが現状です。

アンティーク期間から現代を通して、エタ製だから悪いということはありません。
機械を専門に作るメーカーであり、著名な時計メーカーの機械にも採用されているという点を考えれば、機械自体としては信頼できるものであると言えるのです。

 

メーカーが選んで使っている機械だという点もポイント

以前、スイスの時計メーカーを訪れた時に、案内をしてくれた担当の方に「エタの機械使われていますね。時計マニアには受け入れられていない部分ではないですか?」と尋ねたことがあります。
その時の答えに、はっとしたことがあります。

エタ製の機械を採用してはいますが、それは「私たちが検査をして、その仕様が私たちの基準に合っていることを確認した上で採用しています。仕様を変更してもらうこともありますし、自社で作るのと遜色無いもの、私たちの時計の機械だと考えています。」
「私たちの選んだもので、私たちのメーカーが保証するもの。時計を買う時に機械で買われますか?それとも私たちの「ブランド」を選ばれますか?」と。
なるほど確かに言われてみれば、エタ製の機械とは言え、この高級時計メーカーの機械として、その基準に合致しているもので、このメーカーが選んで採用したものなのだから、時計メーカー、ひいてはその時計の価値を幾分も落とすものではないということ。

エタ製の機械が良くないのか?
アンティーク期間に作られた時計はもちろん、現行品の新しい時計でも、その答えは、この担当の方の答えに集約されているのではないでしょうか。

 

 

アンティークでの評価

エタの機械が使われていると、アンティーク時計を好まれる方の中や、インターネットなどでも、「エタの機械が入っていると良くない・価値が無い」と言われることがあります。
これはどういった点から言われているのかいうと、アンティーク時計時代には、各時計メーカー自体が、それぞれの機械を作り、精度や耐久性などを競っていたため、時計メーカーによっては、精度や耐久性などにも大きな違いがあった時代がありました。
そのため、アンティーク時計の価値を考える上で、「機械=価値」である考えられることもあり、エタ系の機械が使われていると、一般的な機械で価値が低いと考えられています。

また日本では特に、「トリプルサイン」という名前で呼ばれることがありますが、「機械・ケース・文字盤」の3つにメーカーの名前があることが喜ばれる傾向にあります。
エタ製もしくはその系列の機械の場合は、機械にはそのブランドの価値が及んでいないと考えられ、アンティーク好きな方からは、「エタ」系など機械専門メーカーの機械が避けられている理由です。

 

エタの機械

 

高級ファッションブランドでは古くから採用されているもの

時計を自社製造していなかった高級ブティックブランド、ファッションブランド等は、時計メーカーではありませんので、自社では機械を作りません。
古くは機械にもこだわって、大手時計メーカーの機械を採用することが多くありましたが、一部の高級ブランドでは、早くからエタ系列や他の機械製造メーカーの機械が採用されていました。
そのため、時計メーカーではない高級ブランドの時計の中には、比較的エタ系の機械が良く見られます。
これに関しては、高級ブランドである「名前」に価値があるため、機械の価値とは無関係な価値を持っています。
エタ系の機械が採用されているからといって、その時計の価値に影響があるわけではなく、そのブランドの時計としての価値があると見ていただくものです。

 

機械の善し悪し

アンティークと呼ばれる期間にあっては、それぞれの時代のそれぞれの技術、エタ前身の各社によっても違いがありましたが、これは他の時計メーカーでも同じですので、エタが悪いということはありません。
エタの機械が主流になりつつある遷移期間では、時計メーカー製造の機械あり、エタの機械もある時代ですので、時計メーカーの機械が重宝された傾向にあり、遷移期間や現在でも、「今でも自社で機械を作り続けるメーカー」と紹介されることもあり、メーカーとしての付加価値となっています。
時計として見た時に、「時計メーカー製」という機械に価値が置かれると、そういう価値的な意味合いでは時計メーカー製のものが良いと評価されています。

機械自体の作りに関しては、エタと自社製の機械では大きな違いはないものと考えておくのが良いでしょう。

 

アンティーク時計を選んでいただく時には

アンティーク時計として見た場合、精度や耐久性としては、長い年月を経ているため、機械個々の状態の良さによる部分が大きいものです。
確かに機械が作られた時代が違えば、世代間で超えられない壁はありますが、エタ製であっても、高級時計メーカーの自社製の機械であっても、その当時精度の良さで評価を得た物であっても、状態が悪ければ時計として正しく動かしてあげることができません。
その時代時代で、「精度の良さ」などが謳われていたこともありますが、現行品と比べれば精度の違いは明らかですし、同年代・同世代に作られた時計であれば、よほど作りに違いがあるものでなければ、それほど変わらないともいえます。

アンティーク時計を選んでいただく時は、こだわって探せばメーカー製の機械のほうが面白いということはありますが、実際に身に着ける時、時計として楽しむ時に考えて欲しいのは、その時計の外観であったり、自分が好きになれるかどうか。

外観のデザインや状態が良くない時計であれば、見て楽しむ喜びや、身に着けて見せて楽しむということが味わえません。
また例えば好きなブランドがカルティエやエルメスであれば、そのブランドのアンティーク時計を楽しみたいものですが、該当ブランドの時計に、必ずしも時計メーカーの機械が入っているわけではありません。

時計の機械にこだわっていただくよりも、「時計として楽しめるものなのかどうか?」に重点を置いてお探しいただくのが一番お勧めです。

 

 

参考記事とリンク

エタ社のホームページ
現行品の機械などを写真で見ることができますが、ホームページは英語・ドイツ語・フランス語のみになります。

ウィキペディアのエタのページ
エタ社の歴史などの詳細が順を追って紹介されています。

 

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