色々なメーカーのリューズ

 

 

リューズは消耗品

アンティーク時計など、古い年代の時計をお使いいただいていると、「リューズ」だけが取れて外れてしまうことがあります。
リューズを巻いていると外れてしまったり、前触れなく、気が付いたらリューズが無くなっていたり。
少し時計のことをご存じであれば、まったく心配をしていただくことでないのですが、「リューズが無い」とびっくりしてしまいます。

腕時計のリューズが無い 懐中時計のリューズが無い

ご安心ください。
実はリューズ自体は、時計がリューズで巻き上げられる時代になってから、100年以上前から、交換される「消耗品」という位置づけの部品です。
そのため、アンティーク時計と呼ばれる年代のものでも、その時計のリューズを交換するために、それ時計が製造された以降も、部品メーカーから数多くの交換用のリューズが製造されています。
多くの時計を網羅・対応するために、そのサイズや色なども多種多様で、特殊な作りをしたリューズでない限りは、簡単に交換してあげることができます。

汎用品のリューズ

 

 

リューズはなぜ取れる?

リューズをつまんで巻いて、ぜんまいを巻き上げる。
リューズを回して時刻を合わせる。
毎日時計を使っていれば、1日1回以上はぐるぐると、ぜんまいを巻くという操作を行うことになります。

ぜんまいの巻き終わりに近くなると、ぜんまいの反発力が強くなり、リューズを巻く動作にも力が要ります。
これだけ強く巻くのだから、リューズにも負荷がかかっているのだなと、想像していただきやすいのではないでしょうか。
リューズが外れてしまうのは、その形状と毎日の操作が深く関係しています。

 

 

巻き芯とリューズの接合

形をご覧いただくと、その形状からご想像いただける通りで、リューズと巻き芯は別の部品で、それを繋いでレバーのような部品になっています。
一般的には、巻き芯とリューズは、ネジとネジ穴の関係になっていて、ネジ山が切られた巻き芯を、ネジ穴のあるリューズに差し込んで締めこんでいきます。
ただ締めこむだけでは強度が足りませんので、この接合部分を接着することによって、ぜんまいを巻く際や時刻を合わせるという操作の際に、取れてしまわないような強度を作り上げています。

リューズの内側と巻き芯
機械式時計に「接着」という言葉はどこか似つかわしくないのですが、リューズと巻き芯は接着をするのが基本です。
年代が古いものは、締めこんだり叩き込んだりして接着をしていないものもありますが、そのような場合でも、現在は補強の意味も含めて接着を行います。
昔と比べると、用途に沿った良い接着剤があるため、より外れにくくなっています。

 

 

ネジ式だから緩んで抜けることがある

リューズと巻き芯は、ネジとネジ穴という関係のねじ込み式。
そう考えていただくと、巻き上げ等の操作を繰り返すと、抜けてしまうのも当たり前だと思われたのではないでしょうか。

リューズを巻いていて、ぽろっとリューズが取れてしまったり、気づかない間にリューズが無くなってしまっているのは、このような作りが原因です。
リューズが無くなってしまうという問題は、時計がリューズで操作される時代になってからは、至極当たり前に起こっていたことで、リューズ自体がたくさん作られていました。

古い部品メーカーのリューズ
【昔の古いリューズの部品セット】

 

 

リューズが外れたらどうする?

外れたリューズ、巻き芯があれば巻き芯も合わせて、できるだけ早めに修理を依頼すべきです。
自分で締めて仮止めをして、使い続けることもできなくはありませんが、固くきつく締めることはできませんので、リューズの紛失やネジ山や溝を傷めてしまうことになるかもしれません。

 

 

リューズと巻き芯が一緒に抜けてしまったら

リューズだけが取れるのではなく、リューズが付いている芯(巻き芯)が機械側からすっぽりと抜けてしまうことがあります。
これはリューズ単体とは別の問題で、機械側の「巻き芯を固定するための部品」に問題があります。

懐中時計のリューズと巻き芯 腕時計のリューズと巻き芯

時刻合わせの際にリューズを引くと、引くとカチン、押し込むとカチンと、その都度引っかかりと固定されるような感覚が手に残ります。
この感覚を生んでいるのが、巻き芯を留めている部品です。
時刻合わせのたびに動作する部品で、薄いもしくは細い部品で作られているため、金属疲労で部品が折れてしまうことがあります。

懐中時計の裏押さえ

この部品が破損もしくは外れる・摩耗などで正常に動作しない状態になると、巻き芯を固定することができず、巻き芯自体が抜けてしまいます。
古い時計の場合は、巻き芯自体が摩耗して痩せ、固定する部品との引っかかりが浅くなって抜けることもあります。
このような症状の場合は、巻き芯を固定する部品の交換、もしくは巻き芯自体の交換が必要になります。

 

 

リューズについてのQ&A

リューズが外れないように使うには、逆回しをしないほうが良い?

基本的には、リューズを巻く(ぜんまいを巻き上げる)という操作をする時には、巻き芯とリューズのネジを「締める」向きにリューズを回している形になっているため、巻き上げる動作をしていると、「外れない」方向に回していることになります。
そのため、リューズを外れにくくするには、リューズを逆回し(リューズのネジが緩む方向)に操作しないほうが良いと言われていることもありますが、それはある意味で当てはまるのですが、時計によってそうでないものもあり、接着の強度という意味では、回す向きはあまり関係がありません。

リューズの中には、逆向きにねじ込むタイプのものや、古い懐中時計などでは、ネジ式になっておらず、叩き込んで留められているものもありますので、必ずしも当てはまらないことがあります。
また、そのような操作をしなければ、リューズが外れるような状態になっているということは、すでに接着部分が取れてしまっていますので、リューズを取り付け直す必要があります。
操作の仕方で対処するよりも、修理が必要な状態です。

リューズ自体は消耗品で、ねじ込みをして接着してあるだけですので、基本的には付け直してあげることができます。
年数の経過・使用とともに外れてしまう部分ではありますので、リューズが外れないようにという意味では、回す向きは気を使う必要はありません。

 

外れたリューズを自分で着けることはできる?

外れてしまっただけであれば、ネジ式になっていれば、リューズを回していくと、巻き芯には留まります。
ただ巻き芯が機械に付いたままの状態では、巻き芯を固定することが難しく、リューズを十分に締めることができません。
そのため、締めることができたとしても、またすぐ外れてしまう程度の固定しかできません。
接着剤で留めると、ある程度の固定はできますが、専門家が取り付けるほどしっかりとした固定にはなりません。
どうしても外れやすくなりますので、修理に出していただくべきです。

 

メーカーオリジナルのリューズ

最近の新しい時計では、リューズに各メーカーのロゴやマークが入っているのが当たり前になっています。
マーケティング・ブランディングが強く意識され始めた頃から、各メーカーが採用しているものですが、実はそれが定番になったのはごく最近のことです。
時計のリューズにロゴマークが入り始めたのは、1940年代後半から1950年頃から。
それでもその時代、またその後もすべての時計に入っていたわけではなく、時計の種類によって、メーカーによって入っていたりいなかったりで、現在のような徹底されたものではありませんでした。

売買されている古い時計の中には、「オリジナルのリューズ」という説明書きのもとに販売されているものもありますが、古いものになるほどマークの入っていないもののほうが圧倒的に多くなります。
またリューズは消耗品で、使用されれば摩耗し、交換されることが当たり前だった時代ですので、よほどの確証がない場合は、最初からその時計に付いていた「オリジナル」ではない可能性が高いものです。

 

金無垢もしくは銀無垢のリューズ

ケースが金無垢や銀無垢という時計がありますが、そのような時計であれば、リューズまでも無垢であると思われがちです。
ですがリューズの場合は、比較的強い力がかかる・毎日操作される部分であるため、金や銀などの無垢素材であれば柔らかすぎて、すぐに摩耗してしまいます。
そのため、リューズ自体に金無垢や銀無垢素材が使用されることはほとんどありません。
基本的には、基礎となる硬い金属で形が作られ、外側に金張りやメッキなどで加工されています。

 

リューズは再生できる?

特殊なリューズや古いリューズの場合、付け替えることはできるものの、同じ形のものが見つからないことがあります。
時計のリューズの雰囲気までも気に入っている場合、できればリューズの形も変えたくはないものです。

例えば、古いリューズの中には、懐中時計や初期の腕時計に代表されるような、オニオン型(たまねぎのような形)のリューズがあります。
使用とともに摩耗していくのは同じですが、年代の新しい時計とは違って、リューズの土台の金属に、銀や金などの殻で覆うような作りになっています。
アンティークなどの場合、長年の使用や経年の摩耗によって、その殻の部分に欠けや剥がれが起こりますが、このようなリューズも実は再生することが可能です。

再生したリューズ
【実際に再生したリューズ】

元の物とは少し形が変わってしまうことがありますが、同じように外の殻を作り、改めて被せ直すことで補修・再生してあげることができます。
リューズは基本的には消耗品ではありますが、同じ型のものが無い場合には、このような形で再生することもできます。

 
 

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