古い懐中時計

 

 

アンティーク時計と言えば

「アンティーク時計」という言葉を聞いて、思い浮かべるものは、懐中時計以外にも、鳩時計のような柱時計、机の上に飾る置時計などもあります。
でもその中でも、最も「アンティーク時計」と言われて、そのイメージに合うのは、懐中時計ではないでしょうか。
芸術品のように綺麗な装飾が施されたものを思い浮かべられましたか?
それとも上の写真のように、少し年季が入った古びた時計を思い浮かべられたでしょうか?
それは「アンティークを楽しむ」という原点にあっては、時計以外のことでも、骨董美術や芸術にも当てはまることで、そのどちらもが正解です。

古き良き時代の職人技が込められた、繊細で豪華な作りに見せられる、そして長い年月だけが培うことのできる、哀愁すら感じるその雰囲気。
どちらも新たには得られないものであり、その時代に作られたものだからこそ、そしてその時代から受け継がれてきたものだから楽しむことができるものだといえるのです。

アンティーク時計に少しでも興味をお持ちになられたら、懐中時計をお持ちいただくことをお勧めしています。
その理由は、アンティークの懐中時計には、現代の時計には無い、まったく違った特徴とたくさんの魅力を備えているからです。
それでは、時計好きの店主がアンティーク懐中時計の魅力についてお伝えしたいと思います。

 

 

持って良しそして飾って良し

懐中時計の1番の魅力と言えば、やはり持って楽しめるそして置いても眺めて楽しめるという、1つで2つの楽しみ方が味わえる点にあります。
確かに腕時計でも置いて眺めていただけますが、うっとりと眺めてしまう・なぜだか見てしまうような引き付けられる魅力を備えているのは、年月を経て味わいを増したアンティークであり、普通の時計ではない特別な形をしたものだから。
年月を経たことによるその上品で訴えかけるような魅力、現代の時計とは一線を画した外観やデザインの違い、また細部にわたる作りやデザインの良さも相まって、アンティーク懐中時計はその美しさを語りかけるように訴えかけてきます。

懐にそっと忍ばせて持ち歩くのは、誰にも知られないまさに大人だけの上品な楽しみ。
持ち歩くだけでもステータスを感じていただけるものですが、電車でもカフェでも、そっと胸元や鞄から取り出すその様は恰好良いの一言。
周りから見ていても、懐中時計を手にする男性や女性の様は、まさに紳士・淑女という言葉がぴったりときます。

懐中時計と木製スタンド

味気ないデジタル時計や丸い大きな掛け時計が置かれていると、ちょっと気忙しい感じになりませんか?
家にいるときは飾って楽しむに尽きます。
懐中時計をスタンドに立てかけ、書斎の机の上にそっと飾ってあげる。
そばに置いて本を読んだり趣味の時間を楽しんだり。そしてふっと我に返って時計を見て時間を見る。
「ああ、もうこんな時間か」とそっと部屋を出ていく。
そんなゆったりとした時間が楽しめるのは、昔のようなゆったりとした時間が流れる懐中時計だからこそでしょう。
コチコチと安らぎのある音に和まされ、自分だけの時間を愉しむ。
これぞ最高級の時間の楽しみ方です。

忙しく時間に追われる場所だからこそ、通勤ではポケットに入れてお供に。
そして仕事では机の上に置いて、自分だけの癒しの宝石箱として。
こういった腕時計とは違った楽しみ方ができるのは、アンティークでも懐中時計だからこそです。

 

 

腕時計にはない存在感と特別さ

確かにロレックスに代表されるような、現代の時計にも存在感はあります。
でも懐中時計には、それを飛び越えるような圧倒的な存在感を持っています。
現代にはない、現代から見ると不思議であったり美しい形であったりという、古いものでありながらある意味で斬新なデザイン。
昨今では懐中時計をご覧になられたことが無い方も多くいらっしゃいますが、この懐中時計というその時計本来の形だけでも大きな存在感を示してくれます。

時計店や百貨店を訪れてみると、たくさんの驚くほどの数の時計が並んでいますが、どれも同じように見えてきませんか?
ケースの形にしても針の形にしてもどことなくどれも同じ。しいて違うといえばブランド名とマークぐらいのものだったりします。
それは流行を追わなければならない現代のメーカーの宿命でもありますが、やはり大量生産された感が否めません。
事実として、デジタル時計が普及して以降、違うブランドのものであっても同じ機械を搭載しているものも決して少なくありません。

赤に白い花の描かれた懐中時計

それに比べるとアンティークの懐中時計は、本当に全てが違います。
選んでもらえる1点を作り上げるために。
職人たちの技で作られたものだからこそ、感じられる違いがそこにあります。

細やかな点は端々まで素晴らしく、時計の針一つやケースのデザイン1つをとって見てみても、現代の時計とはまったく違う「本物の切れ味」という言葉がぴったりとくるのがおわかりいただけるはず。
アンティークの懐中時計が作られていた頃は、どのメーカーの時計も職人達によって作られていた時代。
限られた生産数と技術力の中で、各メーカーが違いを表現しようと作られてきたものです。

古い新聞の懐中時計の広告

現代のようにテレビなど映像で宣伝する方法も少なく、当時の唯一の宣伝方法である新聞に描かれる時計は、実物を正確に伝える写真とは程遠い手彫りの版画や絵。
ましてやインターネットで気軽に世界に伝える方法なども無かった時代です。
この時計一つの外観で、お店に並んでいるその姿だけで、お客様に選んでもらう必要があったのです。
針1本を見てみても、時計全体のバランスやデザインにしても、全てが時計作りに携わった人たちの知恵の結晶。
その1つひとつに違いを感じていただけるはずです。
これらの違いを感じていただけるのは、この時代にはその商品の持つ本当の力が必要であったから。
その熱意は100年を経た今でも、時計から力強く伝わってくるはずです。

 

 

感じる鼓動・生きている時計

懐中時計を持つことで実感していただけること。それは「懐中時計は生きている」ということ。
そう言い切ってしまえるのは、そこに鼓動があるから。
リューズを巻いて時計が動き始めると、そこには力強い鼓動が流れてきます。
「コチコチコチ」という時計が時を刻む音。短くも正確なその音は、まるで人間の心臓の鼓動のようでもあります。
懐中時計を持つことの1つの楽しみは、この音を楽しむことにもあるでしょう。
ほぼ懐中時計の大きさにも比例しますが、懐中時計の場合は腕時計よりも大きな音を楽しんでいただくことができます。

このコチコチという正確に刻まれる音はデジタル時計にはありません。他のおもちゃにもありません。
1秒に1回・1日で約86000回コチコチコチと、本当に生きているかのように巻かれたぜんまいの力がなくなるまで、ずっと動き続けています。
この小さな音は、毎日リューズを巻き上げることでずっと動き続けてくれるわけです。

時計の心臓

アンティーク懐中時計では、毎日もしくはご利用いただく日にリューズを巻きあげていただく必要がありますが、これは果たして手間でしょうか?
いいえ。実はこれは手間ではありません。
手間がかけられる・時間を掛けて楽しむことができるのは、こういった手作りのものだから味わえるアンティークの醍醐味。

これを面倒だと思われる方・時間が無い方にはアンティーク時計は持っていただきたくないのです。
この時間をかけることを楽しんでいただける方だけに、時計との時間を過ごしていただきたいのです。
現代のデジタル時計のように誤差がまったくでないという代物ではありません。
ちょっと時間がずれてしまうのもご愛嬌。時計によってはちょっと進んだり遅れたり。
この時計はそんなヤツだからと、自身の相棒のようにかわいがってあげてください。
こういったリューズを巻いたり時間を直したりというちょっとした手間、そしてそれに費やす時間は、まるで子供やペットと楽しむ時間のよう。それは時計に個性があって生きていることの証です。

パソコンや携帯電話を扱うように、なんでも省略・短縮するのでは味気なくはありませんか?
時間や手間をかけることの贅沢さ。
懐中時計を1度持っていただくと、ずっと持ち続けたくなるのは、その時計がまるで生きているかのように手間をかけてあげることができ、コチコチと生きている鼓動を刻むからでしょう。

 

 

こんな懐中時計もあります

当店で扱う商品よりもさらに年代を遡ると、このように芸術的な機械を持った懐中時計もあります。
「鎖引き」という作りの懐中時計によく見られる作りです。
修理やオーバーホールを行える現在時点での技術者の減少、将来的には極端な減少が予測されているため、当店ではあまりお勧めはしていません。
入手自体は可能ですので、ご希望でしたらご相談ください。

鎖引き懐中時計

 

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