無銘時計の歴史と特徴


小さな町の工房で組み立てられる時計。その昔、多くの時計は無銘だった。

無銘時計の歴史とご紹介

時計がブランド・メーカーと呼ばれる名前によって、工業的に作られ始めたのは1900年を過ぎてから。
それまで、特に1900年以前には、小さな家のような工房で手作業で作られていたため、メーカーやブランド名すらないというのも普通でした。
それこそ、今でこそ大きな有名メーカーであっても、会社やブランドとして確立されるまでは、小さな工房であったのです。
こういった小さな工房によって作り出された時計が、それを販売する時計店やジュエリー店に渡り、そのお店でケースに収められていたという時計が辿った歴史的な側面もあって、1900年以前の時計にブランド名が無い、工房名が無いということがよく見られます。
これらは時計が作られていた初期頃にみられる、ひとつの歴史的な側面だといっても過言ではありません。

無銘の刀剣といえども、その造りによって名刀と呼ばれることもありますし、長い年月を生き残ってきた、そのことにも価値が生まれます。
無銘の刀剣ならぬ無銘の時計。ひと時代を生き抜いてきた・大切にされてきた時代の重さを持ったものです。
それこそ、その時計を持つ方が、この無銘の時計に意味と価値を感じていただけるなら、それは知りえることができないが故に、限りない価値を感じていただけるものでしょう。

 

 

無銘時計のお勧めポイント

無銘とはいえ、それは当時の時代背景からくるもの。時計として決して悪いという意味ではありません。
1900年以前の無銘の時計は、多くが時計の本場であったスイスで作られたもの。
それ以外にはスイスについでイギリス、そしてフランスで作られたものも多いことが知られています。

無銘の時計は『ブランド』と呼ばれるものが生まれる前・特に古い時代のものが多いため、作りやデザインに変わったものがあるのが特徴です。
アンティークに魅力を感じていただける方なら、無銘である・わからないという未知の魅力を楽しんでいただけることでしょう。

ただし気を付けていただきたいのは、無銘時計=良い時計ではないということです。
確かに、銘が無い時計の中には、現在の有名メーカーが作っていた幻の時計、レアものと呼ばれるものが無いわけではありません。
でもそれは、確率的に言えば、それこそ宝くじを当てるようなもので、まずそういった物に出会うことはありません。

初心者の方やアンティーク時計に少し慣れてくると、「無銘」という奥の深さと、見えない価値に惹かれて手を伸ばしてしまいがちです。
時計を作っていた工房は、昔は本当にたくさんあり、機械の質も本当にピンからキリまでです。
銘があるということは、時計に名前を入れることができた、ブランドにスポットが当てられる時代まで工房が生き延びたという、言い換えれば信用力の証のようなものです。
また無銘の時計は、無銘であるが故に、型番や制作メーカーもわからず、万が一の時・どうしても修理したい時に手に入るはずの部品すら手に入りません。

無銘の機械

古い無銘の時計の中には、時代的に非常に古い、鎖引きやシリンダー式といった修理が難しい、修理をしてくれるところを探すことも難しい作りのものも多くあります。
「夢」を買うという意味では面白いものではありますが、無銘には無銘であった理由があり、そこには大きなリスクも伴いますので、時計を使いきる・修理することをあまり考えないでお使いいただけるのなら良いのですが、初心者の方にはお勧めできません。

 

 

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