大森安仁子の描いた絵画が嫁いでいきました


大河ドラマいだてんでご縁があり、当店で記念にコレクションをしていました。

当店の時計が大河ドラマに出た記念として

NHKの大河ドラマ「いだてん」では、当店のアンティーク腕時計、懐中時計またチェーンやネックレスをご利用頂きました。
そういったご縁から、記念にいだてんにまつわるものを置いておこうということで、シャーロット・ケイト・フォックスの演じた、大森安仁子が描いた絵画や絵本を収集していました。
なぜ彼女の作品を集めたのかというと、彼女が日本に渡ってからの活躍、そして夫である初代オリンピック監督である大森兵蔵への愛。
ご本人にまつわるお話自体が、ドラマになりそうなほどのものなのです。
彼女のお話しと境遇に心惹かれる・共感するものがあり、彼女にまつわるものを集めていたのです。

 

元々こちらで記念品に残しておこうと収集したもので、売れるとも思っておりませんでしたし、販売しようとは思っていない非売品同然の扱いのものでした。
ところが今回、とあるところからお声をおかけ頂いて、絵画と絵本は当店の管理を離れ、そちらへ嫁いでいきました。

大森安仁子がアメリカ在住時に、姪を描いた絵画で、彼女の代表作の1つとされているものです。

大森安仁子 Annie Barrows Shepleyの描いた姪 1898年作 -大河ドラマいだてん大森兵蔵の妻-A0280-1
【絵画のページ】
https://www.melsy.com/product/annie-shepley-omori-a0280/

絵画の嫁ぎ先は、まさかの

その嫁ぎ先とは、一般財団法人 生涯学習開発財団です。
ここに至るまでの流れは、まさに運命を感じずにはおれないものです。

【財団のホームページ】
https://www.gllc.or.jp/

この絵画と何の関係があるの?と思われたかもしれません。
しかしながら、ここには本当に深いつながりがあるのです。
実はこの一般財団法人 生涯学習開発財団、この絵画を描いた大森安仁子とその夫であった大森兵蔵、このご夫妻に所縁があります。
今回、お声をおかけいただいたのは、そういったご縁から。

大森安仁子との繋がり

大森安仁子は、夫である大森兵蔵が亡くなったあとも、日本に残り、事業家・慈善家・翻訳家として活躍を続け、子供たちのための施設「有隣園」を設立。
その施設を継承するのが、大森兵蔵の姪である藤原澄江と、その夫で衆議院議長を務めた松田竹千代。
さらにそのご夫妻の娘である松田妙子が理事を務めた、「一般財団法人 生涯学習開発財団」へと繋がります。

今回お声をおかけいただいたのは、その松田妙子の長女・佐藤梨奈 生涯学習開発財団事務局長から。
現在の有隣園は、財団が所有する有隣園資料館(大森安仁子が1937年当時に遠藤新に別荘として建築を依頼したもの)として山梨県に移設され、大森安仁子がアメリカから持参した書籍や、NHKの大河ドラマのいだてんでも披露された、夫である大森兵蔵の肖像画などとともに保管されていると言うことです。

【財団と大森夫妻との関わり】
https://www.gllc.or.jp/profile/history/

紡がれる運命の糸

ご購入にあたってお声をおかけ頂いた際に、佐藤利奈財団事務局長からもお電話をいただき、大河ドラマいだてんでの取材の件、またドラマに関してのエピソードなども聞かせていただきました。
大森兵蔵はとても美男子で、竹野内豊そっくりだと常日頃思っていたところ、NHK側に依頼をするわけでもなく、大森兵蔵役は竹野内豊でいきましょうとのお話があったとのことでした。

 

大森安仁子による絵本の挿絵
当店で収集した絵画や絵本を見つけられたのも、運命であったのかもしれません。
まったく関係のないところに、嫁いでいくのはあまり気乗りはしませんが、大森安仁子にまつわる資料が集められた有隣園へと収蔵される。
ただ単に記念品として収集している当店に留まるよりも、これを描いた彼女の元に戻っていくようなもの。
これほど幸せなことがあるはずもありませんし、より大切に管理され、他の人にも見てもらえる。
本当に素晴らしいご縁を頂きました。

絵画や絵本は、有隣園資料館に所蔵されるというお話ですので、ご興味がおありの方は、ぜひ下記をご覧いただきまして、資料館を訪れてみてください。

【財団の有隣園資料館のページ】
https://www.gllc.or.jp/project/yurinen/shiryokan.html

絵画についてのエピソード

お付き合いのあるアメリカの画商の方に、大森兵蔵もしくは大森安仁子にまつわるものがあれば購入したいと打診していました。
しかしながら、シャーロット・ケイト・フォックスの少しオーバーなまでの好演で、大森安仁子にも大きな注目が集まったのでしょう。
この該当の絵画も、手に入るものでは最後の1枚で値段も高騰していましたが、絵本などもこれだけしか残っていないということで、すべてまとめて購入することになりました。
アメリカからは空路を経て、当店のあるオーストラリアに到着しました。

届いてから開封してみると、なんともいえない佇まいの彼女。
こちらに来てからは、まるで幸運の女神のように、良いことが立て続けに起こりました。

 

そんな中、突然当店の商品を気に入っていただいたというお電話をいただきました。
まったく関係のないところにお渡しするのは、こちらの収集品ということもあって、気が進まなかったのですが、お話しをお伺いしてびっくり。
ご丁寧にお電話まで頂いて、いだてん取材時のエピソードなども聞かせていただいて、こちらも喜んでお渡しすることが決まりました。
彼女がこちらに滞在したのは1年半ほどだけですが、手放すのは後ろ髪を引かれる寂しい思いでした。
彼女が飾られていた場所には、今は額に入れた「いだてん」のポスターが飾られています。

発送トラブルのエピソード

一般財団法人 生涯学習開発財団にご購入頂くに当たって、品物はフェデックスで発送をしました。
見積りの段階では3~4万円程度の空輸代と、税金というおはなしでしたが、品物を届けて、フェデックスからの請求書が届いてびっくり。
2004豪ドルと表示されていますが、その時のレートで換算すると、約16万円という空輸費用。(割引が無ければ20万円)

フェデックスの誤った請求書

すぐにフェデックスに電話をしてみるも、これだけ大きなものを送られていますと言われたのが、なんと一辺が1.5m(60インチ)・重さ130kgほどの荷物。
本当に厳重に、幾重にも緩衝材を巻き、段ボールも重ねての梱包でしたが、絵画は最も長い部分で70cm、重さにして約3kgです。
1.5m・130kgになるはずはありません。
そんな大きな荷物、もとより集荷の方が一人で運べるはずもありません。

フェデックスの間違った明細

そんな大きな荷物は送っていないことや、集荷も1人しかこなかったので、実質的に運べるはずもないことを伝えるものの、フェデックスの担当者は、「送っているはずです」の一点張り。
電話口で粘りに粘って、なんとか調査をしてもらえることになりました。
なんと2週間にもわたる調査の結果、フェデックス側の間違いで、当初の見積りの範囲内の輸送費に収まりました。
大森安仁子に対する尊敬の念はあれど、赤字を出して寄付のような形で送ることになりかけるとは、まさか思いもよりませんでした。

最後に

大河ドラマいだてんで、当店の時計をお使いいただいたNHK様、そしてその時計をご用立ていただいた会社そしてご担当者様。
財団の佐藤事務局長、お取引に当たって終始お気遣いをいただいた財団のご担当者様。
支払いの件で問題はありましたが、無事に絵画を届けていただいたフェデックス様。
国内輸送の佐川急便様、そして絵画の入手にご尽力を頂いた画商様。
今回このようなご縁を下さり、関わっていただいた皆様に感謝いたします。
大変ありがとうございました。