100年・1世紀を軽く超えた歴史の深い懐中時計
このロンジンの懐中時計、なんとなく感じが良い・雰囲気の良さを感じませんか?
時計の形であったりデザインであったり、そのモチーフであったり、これと1つ挙げると難しいのですが、これらがうまく融合した、そこから生み出される雰囲気が良い時計ではないかと思います。
モチーフになっている馬と紳士は、いわゆる現代の「競馬」ではなく、この時代の「ハーネス」競馬と呼ばれているもので、西洋では現在も競馬の種類の1つ、日本では繋駕速歩競走という名前で呼ばれている競技です。
馬の後ろに、ほぼ車輪だけというスタイルですが、これ自体は現代も変わりませんが、そこに乗る紳士の姿がなるほど「この時代だ」というもの。
まるで燕尾服のように後ろに長くたなびくセンターベント、馬乗りという名前が付いたことにも、なるほどと思って頂けるのではないでしょうか。
そしてその反対側には、これも時代の風景ですが、穏やかな時代の流れを感じる彫りが施されています。
銀無垢のハンターケースで、リューズを押し込むと蓋が開く作り。
艶のある白色の文字盤に、ちょっと変わった形の針、それなりに使い込まれた感がありますが、それもまたアンティークの良さ。
時刻合わせも剣引きと呼ばれる、文字盤側の小さなレバーを引き出してからリューズを回すと、時刻合わせができる古い作りのタイプです。
サイズとしても大きな懐中時計で、1世紀を軽く超え2世紀に渡って受け継がれる、年季と郷愁を感じる銀時計です。
希少性と古さを兼ね備える
古い懐中時計の中でも、1900年前後またそれ以降というのは、比較的良く見かけるものです。
ですがこの時計のような年代で、さらに状態の良いもの・彫りや個性が面白い物となると、その数は一気に少なくなります。
その理由は、大手メーカーですら、年間に2~3万個という程度の数の時計しか作れていない時代で、あるメーカーを例に取ると、1890年頃で5万個・1900年で10万個と、その数は年々増えていきます。
たった数年での大きな違いですが、これらの時代は時計が実用としてしっかり使われていた時代のこと。
年代を遡ると「懐中時計」が全盛・しっかりと使い込まれていた時代であり、こういった特殊な装飾が施された時計の作られた数自体が少なく、それが状態良く現存していること自体が希少になるというのも頷けるところかと思います。
店主のワンポイントと評価
総合評価
ハーネス競技をモチーフにしたもので、長い鞭も見られるように、紳士が走らせる馬車のようでもあります。
裏側のデザインも郷愁を感じさせるもので、その周りを彩る装飾部分もなかなか味があります。
「西洋アンティーク」「紳士」というイメージで、デザインや作りにとても特別なアンティーク感がある懐中時計。
蓋を開けて楽しむ、ハンターケースという点でも面白い時計です。
どなたにでもお勧めできるデザインではありませんが、希少性のあるもので、ロンジンをお好きな方や西洋の「アンティーク感」をより楽しみたい方にお勧めしたい1点です。
状態
年代や素材を考えれば非常に良い状態ですが、使用や摩耗・経年による劣化や軽い窪み等があります。
裏側の内蓋は銀ではなく、ケース本体との接続部分の写真も拡大して掲載していますが、蝶番部分が再生されています。
ちょっと変わった繋ぎ方ではありますが、このような補修は現代でもとても費用のかかる作業です。
このような補修がなされていることを考えても、とても大切にされていた時計だと思える部分で、マイナスに見て頂く点ではありません。
また馬と風景の面には、細かな横線の彫りが入っていますので、それを残すために強い磨きはかけていません。
希少性
作りやモチーフなど年代的に希少なもので、同じものは手に入りません。
贈り物
モチーフがちょっと特殊である点や、見えない部分ですが内蓋の蝶番に補修箇所もあります。
それらの点を良しと見て頂ける方で、アンティークの「古さ」という点にご理解のある方であれば、とても良い贈り物になる1点かと思います。
備考
–