リューズを巻いて動かす


時計を動かすには、まずはリューズを巻いてぜんまいを巻き上げるところから。

懐中時計と見取り図

 

 

はじめの一歩

時計を手に入れたら、まずは動かしてみましょう。
機械式時計でもアンティーク時計でも、そして最新のパソコンや携帯電話を使うのも、まず最初は動かしてみることから。
時計を動かすのは、パソコンや携帯電話に比べるととても簡単。
基本的にはリューズを巻きあげると、コチコチと音を立てて動き始めます。
動き始めたそのときから、すでに時計は時を刻んでいます。

リューズを巻く

 

 

リューズの役割

リューズの機能はおおむね2つ。
1つはリューズを巻くことで「ぜんまい」を巻き上げる。もう1つは時刻を合わせることです。
ぜんまいを巻くには、リューズをそのまま右回しに巻いていただき、時刻を合わせる時は、リューズを引き出してから回すと長針・短針が動き、時刻を合わせることができます。
ただし、古い時計の場合は、リューズの役割が一方しかない、もしくはリューズ自体が無いこともあります。
初めてお使いいただく場合は、お持ちの時計がどのタイプのものかご確認いただき、操作するようにしてください。

 

操作方法の違うもの

お持ちの時計が鍵巻き式であれば、専用の鍵を使ってぜんまいを巻き上げるため、リューズでは巻き上げません。
また時刻を合わせるのも同様で、鍵式やボタン式・レバー式のものがあります。
間違えた操作をすると、部品を傷めてしまうことがありますので、必ずご確認の上操作を行ってください。
<鍵巻き式の使い方>
<剣引き・レバー式の使い方>
<ダボ押し・ボタン式の使い方>

 

 

リューズを巻く

腕時計なら時計の右側、そして懐中時計なら上もしくは右側にあるギザギザのボタンのようなものがリューズです。
腕時計のリューズがケースにぴったりと寄り添うような位置にあるのに比べると、懐中時計のリューズはケースからパイプ状の部分が伸び、その先にリューズがあるので、つまみやすく回しやすくなっています。
腕時計の場合は、リューズのギザギザが摩耗して巻きづらいものや、婦人物は特にリューズが小さいため、時計によっては少し巻きづらいものもあります。

リューズをつまむ

 

手順① 指でつまむように右回し

リューズを巻くには、リューズ側からみて右回しに回します。
人差し指と親指でつまんで、まずはゆっくりとクルクルと回してみてください。
コツと力加減がわかれば、そのままどんどん回し続けてください。

【 懐中時計のリューズ 】
懐中時計のリューズ

【 腕時計のリューズ 】
腕時計のリューズ

回す方法はそれほど問題ではありませんが、好みによって2種類の方法があります。
1つはリューズを1回転ほどさせて指を離し、もう一度つまみ直してさらに1回転させることを続ける方法。
初めて手巻き時計を使うという方は、巻き上げの感覚を知るという意味で、最初はこの方法で巻き上げていただくのがお勧めです。

もう1つは、右回しに1回転させて、リューズはつまんだまま反対回しに1回転、そして右回しに1回転そして左回しに1回転と続けていく方法です。
この方法だとリューズを持ったままなので、わざわざつまみ直す手間がありません。
(右回しのときはカリカリ、左回しのときはジャーといった音になります。反対回しにしても問題はありません。)
機械のためには、このほうが良い巻き方になりますので、慣れてきたら、この方法で巻き上げてあげてください。

どちらの方法が正しいということはありませんので、どちらか好みの方法で巻いてください。
時計を販売・修理する側からすると、後者のほうが機械のためには良い方法です。
前者の方法で巻くと、リューズから指を離した時に、わずかですがリューズが巻き戻されるように動きます。
極めて厳密に言えば、この反発が部品に影響を与えると言えばそうなのですが、そうしなかったからといって、必ずしも問題が起こるというわけではありません。

 

手順② いっぱいまで巻き上げる

ずっと回し続けていくとだんだん重たく固く感じるようになり、最後には普通の力では、それ以上巻けなくなります。
初めてリューズを巻く方にとっては、どのくらいで止めて良いのか、どこで一杯なのかがわかりにくいかもしれません。

もしリューズを5・6回くらい回しただけで重たいかもしれない、固いかもしれないと思われているようでしたら、それはまだまだ重くなりはじめたばかりで、ぜんまいはほとんど巻き上げられていません。
時計によって違いますし、巻き上げる時の1回転も人によって少し違いますので基準にはしづらいのですが、おおむね20~30回ほど巻くことができます。
巻き上げ回数が十分でないと、ぜんまいの巻き上げも十分でなく、正しい力が時計に伝わりませんので、誤差や止まりの原因になります。

 

手順③ 動作の確認

巻き上げている途中に「コチコチ」と音を立て始めたら、それが時計が動き出した証拠です。
基本的には、数回、5・6回もリューズを巻けば動き始めるはずです。
これで時計が動き出し始めました。
時刻を合わせれば、時計として使うことができます。
 

慣れてきたら

リューズの巻き上げに慣れてきたら、巻き上げの際は、「リューズを持ったまま・指を離さずに」巻いてください。
必ずしもそうしていただく必要はないのですが、厳密に言えば、そのように扱っていただくほうが良いためです。

巻いた時に指を離すと、リューズが少し反発するような感じでわずかですが、動くように感じられるはずです。
クっと一瞬戻るような感覚程度の本当にわずかなものですが、その反発で部品に負荷が掛かりますので、リューズの指は離さずに巻き上げるほうが良いということになります。

 

 

時計はどうして動く?

時計は巻き上げたぜんまいが少しづつほどけていくことで、その動力を伝えて動いています。
古くは動くブリキのおもちゃですが、今となってはご存じの方も少なくなってしまいました。
それでは、少し昔に流行ったチョロQはご存じの方も多いのではないでしょうか。床に置いて、何度か後ろに引くと走り出すものをご存知ですか?
車のおもちゃを後ろに下げることでぜんまいを巻く、手を離すと巻かれたぜんまいが一気に開放されてタイヤが回って走り出しますね。
ちょっと大雑把な説明ですが、時計の場合はゆっくりと開放されているだけで同じような原理です。

おもちゃのぜんまい

 

 

リューズは摩耗する消耗品

毎日時計を使う方なら、リューズは毎日1度巻き上げられる部分。
指で操作してはいるのですが、金属であるリューズも本当にごくわずかですが磨耗が起こり、長い年月を経ると巻きづらくなっていきます。
もし時計のリューズが巻きづらい場合は、新しいリューズに交換されることをお勧めします。
特別なものでない限りは、同じ型の新しいリューズに交換したり、合うものがあれば巻きやすいように大きめのリューズに替える、メーカーのマークが入ったオリジナルのリューズも入手ができれば交換することができます。
リューズもオリジナルであることを大切にされる方もいらっしゃいますが、昔からリューズは消耗品であり付け替えられてきたものです。
オリジナルにこだわって、毎日の巻上げが大変になってしまったのでは、時計が使いづらくなってしまいます。

 

 

巻き上げに関するQ&A

ぜんまいはいっぱいまで巻き上げたほうが良いですか?

昔は「いっぱいまで巻きあげてはいけない」と言われていたことがありました。
特に時計がお好きな方、お年寄りの方がそのように言われていたことがありましたが、これは実は根拠が無いことではありません。

リューズが巻けないまで巻き切って、ぜんまいを一杯に巻き上げると、ぜんまいが最も強く巻かれている状態になります。
これは反発力が一番強い状態で、そのため部品にかかる負荷も最も強い状態であると言えるのです。
少し巻きに余裕を持たせたものと、いっぱいまで巻き上げた状態では、いっぱいまで巻き上げてしまったもののほうが、ぜんまい自体にもそうですが、部品に負担がかかり壊れやすい可能性があるともいえます。
ただあくまで比べてみればという話で、ぜんまい自体が切れたり部品が破損するのには、その時計の状態にもよりますし、個々の時計によっても違います。
確かに余裕を持って巻いていただくほうが良いことではあるのですが、その分、短い時間で止まることにはなってしまいますので、時計をお使いいただく際に不便に感じられるかもしれません。

例えば20回巻いて24時間動く時計があったとすれば、7割ほど巻き上げれば17時間ほど動くようであれば、起きてから寝るまでの時間だけ動けば良いと考えると、そのくらいの巻きだけでも十分ということになります。
ただし、起きた頃には時計は止まっているはずですので、毎日時間を合わせていただく必要はあります。
大切にお使いいただくのなら、このような方法をお取りいただいてお使いいただくのも1つの手ですし、マニア向けの時計や摩耗して寿命に近い時計などは、このような形で巻いていただくと、より機械に優しい使い方になります。

 

リューズが固くて巻けない・巻き上げることはできたが動かない

長い間使われていなかった時計で、特によくある症状です。
リューズが巻けないということは、ぜんまいがいっぱいに巻き上げられた状態で、時計が動きださないため、巻き上げられた状態からぜんまいがほどけていかない=巻き上げられないという状態です。
機械のどこかに問題があって時計が動かないということですので、修理やオーバーホールが必要な状態です。

 

巻き上げても動かないが揺すると動きはじめる

オーバーホールなどのメンテナンスを済ませた時計で、1930年頃までの古い時計の場合、機械の作りが原因で部品同士が噛み合ってしまう、もしくは動くのに助走が必要な状態のものもあります。
メンテナンス面の問題であることもありますが、機械の作りの問題、または摩耗などが原因で、最初の一振り・出だしだけがスムーズに動いてくれないことがあります。
メンテナンス後のもので、ごくまれにしか起こらない、動き出せば元気に動いている音がするようであれば、そのようなことが原因であることがあります。

 

巻いても巻いても「巻けない」状態にならない

正しい方向に回していただいて、巻くのがだんだんと重たくならない、ずっと軽いままで空回りをしているような場合、ぜんまいが切れてしまっている可能性が考えられます。
ぜんまいが切れているため、ぜんまいは巻き上げられず、巻き止まり・終わりがありません。
もう1つの可能性は、反対方向に回しているために巻き上がらないことも考えられます。

 

 

時計を修理したいときは

当店もしくは当店の国内修理部門である「アンティーク時計修理工房 時計ワークス」までお問い合わせください。
修理やオーバーホールについては、国内技術者が対応いたしますので、お預かりして1週間ほどでお見積もりを差し上げます。
詳しくは下記のページをご覧ください。
<当店の修理についてのページ>

アンティーク時計修理工房 時計ワークス
http://www.tokeiworks.com/

時計修理

 
 

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