リューズの引き方と時刻合わせ


慣れてしまえば簡単ですが、最初は力加減や引き方がよくわからないものです。

アンティーク時計と呼ばれる、少し年代の古い時計たち。
リューズの作りや機能は、現代の時計と同じですが、引く感覚が少し違います。

時刻合わせの際に気を付けていただきたいこと、リューズを回す正しい方向などもご案内しています。

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リューズを引いて時刻を合わせる

リューズを引くのは一度覚えてしまえば難しいものではありません。
基本は初めてお使いいただく時は「ゆっくりと丁寧に」。
リューズをつまんで引くだけですが、ゆっくりと力を強くしていくと、引ける力になるとカチッとリューズは引きあがります。

一番最初は力加減がわからないので、こんなに強く引くと壊れてしまうのでは?と心配になってしまうかもしれませんが、コツと力加減さえわかってしまえば、次からは簡単なものです。
リューズの形によっては、少しコツがありますので、下記にそれぞれのタイプについてご説明をさせていただきます。

 

 

リューズの下に隙間が少ないタイプ

リューズの収まる部分が、リューズが埋まるような作りになっているもの。
リューズの下にあまり隙間が無く、時計自体が小さいと、引きにくいと感じます。

手順① 爪先をリューズの下に差し込む

リューズの下に爪を入れる

爪先をリューズの下に差し込むような感じ・親指と人差し指の指先でリューズの下をつまむような感じで指を差し入れます。
時計が動かないように、もう片方の手でしっかりと時計を持ってください。

 

手順② 2つの指を一直線にするように引く

爪先を引いてリューズを引き出す

リューズをつまんだ2本の指先の爪を一直線にするようなイメージで、指先を手前に戻す感じで引きます。
リューズをつまんで引くというよりも、くぎ抜きで釘を抜くように、爪先を使ってリューズを抜き上げるようなイメージです。

 

爪を使わずに引くには

爪を使わずに引く

毎日の操作ですから、上記の方法では、爪を大切にされている女性の方が、爪先を傷めてしまうことがあります。
そのような場合には、人差し指の第一関節手前、そして親指の腹でリューズをしっかりと挟み込んで引き上げてください。
必ずしもこの指や場所でなければならないということはありませんので、一番引きやすい指と固定しやすい場所で引いてください。

 

 

リューズの丸いタイプ

このタイプは、初めての方でも感覚的に一番引きやすいタイプです。
丸いリューズがぽっこりと出ている感じですので、それを掴んで引いていただくだけです。

手順① 輪を倒しておく

懐中時計の丸いリューズ

懐中時計に共通することですが、時計を掛けるための輪がリューズを引く邪魔になりますので、これは横に倒しておきます。

 

手順② リューズを引く

リューズを指で引く

人差し指の第一関節辺りにリューズを載せるような感じで、親指と人差し指でリューズをしっかりとはさみます。
時計が動かないように、もう片方の手でしっかりと時計を持ってリューズを引いてください。

 

 

腕時計のリューズ

腕時計でもアンティーク時計のリューズは、リューズ自体が小さく、指自体ではつまめないものがほとんどです。
リューズと時計の間の隙間も少ないため、爪先を利用して引いていただく形になります。
一番最初にご紹介した、懐中時計のリューズとおおむね同じ引き方です。

手順① 爪先をリューズの下に差し込む

腕時計のリューズに爪先を入れる

爪先をリューズの下に差し込むような感じ・親指と人差し指の指先でリューズの下をつまむような感じで指を差し入れます。
時計が動かないように、もう片方の手でしっかりと時計を持ってください。

 

手順① 2つの指を一直線にするように引く

腕時計のリューズを引く

リューズをつまんだ2本の指先の爪が平行にするようなイメージで、指先を手前に戻す感じで引きます。
リューズをつまんで引くというよりも、くぎ抜きで釘を抜くように、爪先を使ってリューズを抜き上げるようなイメージです。

 

 

リューズ式の時刻合わせ

リューズ式の時刻合わせは、リューズを引いたあとにリューズを回すだけです。
リューズを回すと、短針と長針が動きます。

時計の時刻合わせ

リューズをぜんまいの巻き上げとは逆向き、左回しにすると時間が進みます。
右回しに回すと時間が戻ります。

基本的にはどの時計も同じ様に動きますが、時計の中には時刻合わせの方法が違うもの、また機械の中には、右回し・時間を戻すと、部品を傷めるものもあります。
詳しくは下記のQ&Aをお読みください。

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リューズ操作に関するご注意

特殊な時刻合わせをする時計にご注意ください

懐中時計には、ボタン式・レバー式・鍵巻き式という時刻を合わせる方法があり、腕時計でもまれに同じ作りを持つものがあります。
これらの方法を取る作りの時計では、リューズ自体はあるものの、リューズを引く必要が無い・引けないことがあります。

リューズが引けないものは、無理に力を入れて引くと故障の原因になります。
初めてリューズを引くときは、その時計がリューズを引くことを必要とするタイプかどうかを必ずご確認ください。

 
【 鍵巻き式でリューズ自体が無いもの 】
鍵巻き式でリューズが無いタイプ

鍵巻き式の使い方

【 ボタンを押し込んでリューズを回すタイプ 】
ボタンを押しながらリューズを回すタイプ

ダボ押し・ボタン式の使い方

【 レバーを引き出してリューズを回すタイプ 】
レバーを引き出してリューズを回すタイプ

剣引き・レバー式の使い方

 

女性の方は爪先の欠けや割れにご注意

爪先を利用してリューズを引き上げる際に、爪先が欠けたり割れることがありますのでご注意ください。
特に女性の方は、爪を大切にされる方が多いと思います。
指先に薄い布を当てて操作していただくと、爪先を保護することができます。

 

 

リューズ操作に関するQ&A

リューズを強く引くと抜けませんか?

基本的には、普通の力で引いていただくだけでは、リューズ(巻き芯)が抜けることはありません。
普通の力で抜けてしまうことがあれば、リューズが付いている芯棒(巻き芯)を留めている部品に問題があることが考えられます。
古い時計の場合、留めている部品もしくは巻き芯の摩耗で、抜けやすくなることがあります。

 

リューズが取れてしまいました

リューズの押し引きではなく、巻き上げや時刻合わせの際にリューズが取れてしまうことがあります。
巻き芯の先にリューズが取り付けられていますが、常に巻かれるリューズは基本的には消耗品で、ねじ込みと軽い接着によって止まっています。
そのため、使っていると取れてしまうことはあります。
外れてしまった場合には、取れたリューズとともに修理を依頼するようにしてください。
無くなった場合に汎用品や合うリューズがあることもありますが、特殊なリューズの場合は合わせることが難しいこともあります。

より詳しくご説明をしていますので、こちらの記事もお読みください。

リューズが取れてしまったら

 

時刻合わせは左回しが良い?

カレンダーやムーンフェイズなど、特殊な機能が無いようであれば、基本的には、リューズを右回し(時刻が戻る)にして時間を戻して合わせても問題はありません。
ただし、特殊な機能があるもので年代の古いものであれば、時間を戻すことによって部品を破損させてしまうこともあります。
古い時計の中には、右回しをすると壊れると、販売当時の説明書などに明記されているものもあります。
わからない場合は、リューズに対して反時計回りの左回しをするのが無難です。

【 リューズに向かって左回しが基本 】
左回しで時刻を進める

ただあまり気にしすぎると、5分早いだけの時刻を調整するにも、12時間分時計を進めなければならず、手間がかかります。
お持ちの時計をよくご存じであれば、特にどちらでも気にしていただく必要はありません。
カレンダーやクロノグラフなど、時刻以外の特殊な機能があったり、良く分からない場合には、左回し(時刻を進める)方向だけで時間を合わせることをお勧めします。

 
 

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