時計がもったいなくて使えない


お持ちのアンティーク時計、飾ったままになってしまっていませんか?

買ったのはいいけれど、飾ったままになっていませんか?

アンティーク時計を手にしたまでは良いものの、もったいなくて使えない。
壊してしまったらどうしようと思ったら使えない。
そんな思いをされていらっしゃる方はいませんか?
でも「時計」である以上は、使っていただくことにこそ価値があります。

子供の手と懐中時計

 
 
 

こう考えると使いやすくなる、現実的な判断基準とは?

何万円・何十万円とした時計を、落としてしまって壊してしまったらどうしよう、壊れて治らなかったらどうしようと考えていませんか?
美術品・骨董品の域に達している貴重な時計を、私の代で壊してしまったら。
修理できなくなってしまったら。
メルシーウォッチの店主も、1コレクターであった時代、昔は同じ様にこう考えていました。

 
壊れるともったいない。
こう考えてしまうと、大半は家で飾ったままで、本当に特別な場所や服装の時にだけ、着けるようになってしまっているのではないでしょうか。
それはアンティーク時計でもそうですが、現行品の新しい高価な時計でも、あるいは高級車であっても同じ思いをされていらっしゃるかもしれません。
そうなってしまうと、時計は押入れに仕舞われてしまったり、ショーケースに飾られるだけになってしまいます。
でもちょっと待ってください。

 

もし壊れても必ず直せるなら?

時計のコレクターでも、時計以外のコレクションと同じで、「使う用」と「収集用」に分けていらっしゃる方もいるほどです。
この「使うためのもの」と「コレクションとして保管しておくもの」を分ける違いは、その時計の価値や希少性だけの違いでしょうか?

時計の専門家から言わせてもらうと、もっと別の基準で、それを判断していただける。
引いてはお持ちの時計をもっと、使っていただきやすく感じていただける方法があります。

それが「修理のしやすさ」「修理ができる可能性」という判断基準です。

もちろん実際に壊れてしまうと費用は掛かってしまいますが、確実にもしくは高い確率で修理ができる時計であれば、もっと使ってみたいと思いませんか?

 
 

修理しやすい時計と難しい時計

確かに「壊れて直すことができない」状態というのも、無いわけではありません。
しかしながら、100年ほど前、50年ほど前の時計であっても、部品や機械が入手できるものもあります。
このような時計であれば、例え機械が壊れてしまおうが、錆びてしまおうが、極論にはなりますが、修理ができるものなのです。

修理をするための、部品や機械が、「より確実性」を持って入手できるものであればあるほど、万が一の時の対応ができる可能性が高いということになります。
確率を大きく変える要素は、製造メーカーの機械や部品の型番など管理の仕方であったり、入手できる資料の範囲であったり、お店によって海外からでも入手ができるということが違えば、それぞれの要素で確率が大きく変わります。

時計部品の資料
【 時計部品の資料 】

 

購入したお店に相談してみてください

お持ちの時計によって違いますが、もしこのようなことで迷われていれば、ご購入いただいたお店もしくは、修理やオーバーホールを受けたことのあるお店に尋ねてみてください。
ある程度の知識があるお店であれば、その点についても教えてもらえるはずです。
裏を返せば、そのような点をお伝えできないということは、そのお店には知識や入手するためのネットワークが無いということになります。

 
時計をご購入いただく際は、のちの修理が「できるもの」をお選びいただくことも重要です。
「買わないほうが良い時計」についても記事がありますので、そちらもお読みください。

 

避けていただきたい時計

 
 

機械や部品の取り寄せがしやすい時計

機械の情報が把握できる時計ほど、部品や機械についての情報がある。
またある程度の数が作られていた時計ほど、現存する時計の数・部品が残っている可能性もあり、機械や部品が探しやすい。
イコール修理がしやすいということになります。

基本的には、著名な「時計メーカー」であれば、時計にどんな機械が入っていて、その機械の型番や部品の番号まで管理されています。
また現存していないメーカーであっても、メーカーの信頼性が高ければ高いほど、当時の資料もしっかりと残っています。
修理のために、部品メーカーが出している資料も貴重な資料で、「修理される需要のあった時計メーカー」ということが言えます。

機械メーカーの資料

資料がある時計であれば、万が一、破損や部品が必要な状態になっても、海外から部品を買い付けることができる可能性というのが高くなります。
メーカーや年代にもよりますが、ほぼ100%の確率で、取り寄せができるものも数多くあります。

また製造されていた数というのも重要なキーポイントで、著名なメーカーであっても、作られていた数自体が少なければ、交換するための部品は、時計と同じほど貴重になり手に入りません。
アンティーク時計初心者の方であれば、できるだけ著名なメーカーで、かつ値段的にもこなれている・当時に十分な製造数があったメーカーを選んでいただくのがお勧めです。

 

機械や部品の取り寄せが難しい時計

基本的なことは同じで、時計メーカーでないメーカーは難しく、数が少ない・資料が無いようなメーカーになると、当たり前のことながら難しくなります。
また時計メーカー主導ではなく、多くの小さな工房で作られていた1900年以前の無銘の時計ともなると、調べる資料もなく、まず入手することはできません。

高級ブランドながら数が少ないもの

人気のロレックスではありますが、懐中時計時代になると、数が極端に少なくなり、部品や機械の取り寄せ自体が非常に難しく高価になります。
また他のロレックスと同等、もしくはそれよりも高級なブランドとなると、同じような状況です。
 

ファッション系のブランド

ファッションがメインのブティックブランドも時計を販売していますが、機械が特定できないものがあるためです。
昔のものは、エタ系列の機械が使われていることが多いのですが、懐中時計時代から1930年頃までは製造メーカー自体が多く製造元が特定できない機械が使われている場合、また1970年以降になると、中国やロシア製の質の悪い機械が使われている場合もあります。
 

数が少ないもしくは資料が揃っていないメーカー製

数が少なければ、部品自体の入手が難しくなります。
また資料の無いメーカーであれば、その機械の型番などの特定が難しく、部品などの割り出しが難しくなります。
 

ノベルティ・グッズ・キャラクター系の時計

元々の販売価格自体が安く抑えられているため、メンテナンスをしながら、長年に渡って使い続けるというコンセプト自体がありません。
時計の機械にしても、その時に最も安い・機械としては粗悪品・メンテナンスや分解ができない作りのものも多く、「使い切り・使い捨て」という部類に入ります。

ミッキーマウス腕時計の機械
【 ダラーウォッチの機械が使われた、昔のミッキーマウスのキャラクター時計 】

 
 
 

壊れても直せる時計は、もっと使って欲しい

アンティーク時計を使わない理由には2つあって、1つはうまく着こなせない・使い道がわからないというもの。
そしてもう1つは、壊してしまうかもしれないというご心配から。
でもやはり、良いものほど使っていただくほうが、その価値以上に楽しんでいただけるというものです。

時計を販売する立場からすると、「壊れてしまうかもしれない」という点については、こちらでご説明したように、「壊しても大丈夫なもの」というものがあります。
ある程度の金額を出していただいて、ご購入いただいたということは、将来的なオーバーホールや修理のご予算もみていただいているはず。

それなら、お買い物でもちょっとしたお出かけのお供としてでも、やはりしっかりと使っていただくことをお勧めします。
せっかく良い服を買ったのに、クローゼットに仕舞って、着ないのと同じようなものですから。

買い物中の女性と腕時計

 

予備の機械を入手して将来に備える

当店でご購入いただく場合、どうしてもご不安な方や、将来的な投資としてご予算を組んでいただける方なら、予備の機械をご用意することも可能です。
機械式時計が修理ができなくなる理由は、部品や機械が手に入らなくなること。
それなら部品の入手のしやすい段階で、入手のできる時に、早めに将来に備えてしまおうというサービスです。

 

壊れた時のための保険として

 
 
 

時計の身に着け方がわからない

懐中時計を着こなしていただくのは、特に難しいわけではありません。
「着けているお手本になる人がいない」「正しい情報がない」から、着けていただきにくいのではないでしょうか?
販売するお店は多くても、どのように使うのか、身に着けるのかを正しく丁寧に教えているところはほとんどありません。

ベストに合わせた懐中時計のチェーン
当店では、男性の方には、べストに着けていただく方法を、昔の写真を交えてご紹介しています。
また女性の方にも、昔の写真と一緒に着け方をご紹介しています。
貴重な資料を公開していますので、ぜひ下記のページもご覧ください。

 

懐中時計の身に着け方

ただ、現代と当時では、時計に対する考え方も違い、時計の使われ方も違います。
昔は高級品ということで、見せることがステータスであったという考え方があり、時間を確認するものが「時計」しかなかった時代です。
現代とは、考え方が根本的に違いますので、必ずしも昔の着け方を見習っていただく必要はありません。

 
 

もっと気軽に考えていただいてかまわない

ズボンのポケットに入れて使っていただいたり、カバンのポケットに仕舞っていただくという使い方で、まったく構わないのです。
チェーンの着け方のページでもご紹介しているのですが、着け方も色々で、明確なルールや決まりに沿って着けられていたわけではありません。
昔ですからそうなのですから、自分のスタイルに合わせて、時計を使っていただくのが現代風と言えるでしょう。

 
 

使うことでしか知りえないことがある

いろいろな考え方はありますが、せっかく手に入れられた大切な相棒のような時計です。
身に着けて楽しんでいただくことはもちろんのこと、電車の中のつり革につかまった時に、そしてお店で時間を見ている時に、他の方に「見せる」というのも、特別な時計を持つ方だけが楽しめる特権。

時計のつり革と女性

外出をすることで、懐中時計ならチェーンを替えてみたり、腕時計ならベルトを変えて雰囲気を変えてみたり。
自分に合うスタイルや色合いまで、使ってこそわかることがあります。
家に仕舞ったままでは、時計を半分ほどしか楽しんでいないことになるかもしれません。

 
 

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