年と銘の彫りという証入り
自分と関係の無い名前なんかが入っていたら、一般的には敬遠されるもの。
ですが、当店では逆に、こういったものをお勧めしたいと思います。
お勧めしたい中でも、特別に「粋だな」と思うものがこの懐中時計。
「個人」のものである彫りは、一般的には裏蓋であったり、内蓋であったり、「主役」としてはフォーカスされないところにあるのが一般的。
でもこの懐中時計にある彫りは、名前であるALICEそして間違いなく年を表すものである1897、これが時計の表側に主役として登場しているのが一番の特徴。
贈られた方の名前であることは間違いありませんが、それを明確に見せるものとして彫り込んだもの。
こうなっていると、逆に格好が良いと思いませんか?
現代で見てみると、すぐに「あっ」と思って頂けるのは、Tシャツなどのファッション。
名前や都市・年といったものが、英語で組み込まれていることが多々あります。
ちょっと現代に通じるところがあると思って頂けると同時に、刀剣などの銘のように、その出所であったり歴史であったりをはっきりと伝えるものでもあって格好良いと思って頂けるのではないでしょうか?
秘めるものではなく魅せるものとして、100年以上前に100年の未来を先取りした、そんな感覚のデザインかと思います。
アンティークの姿も良し
懐中時計としても、明確な楽しめる個性を持った1点。
銀時計ですが、中央部分は金張になっていて、ケースには金・銀両方の色合いが楽しめる。
そして文字盤を見てみると、桃色の鮮やかな色合いに金の装飾、そして特徴のある豪華な針。
時計のサイズとしては、この時代の一般的な小型サイズになりますが、ケースの表面の面積を多くとってあることで、文字盤は小さく。
デザイン的な変化球も加えた、とても個性の立った作りが楽しめる1点です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
エルジンのこの時代の銀時計の形の1つ。
綺麗な金彩装飾が美しい文字盤に、ケースにも裏面には複数の色の金を使用した装飾、彫りが施してある特徴のあるもの。
これだけでも十分に味のある時計だと言えますが、こちらが良いと思うのは、名前の彫りと年の彫り。
これが加わることで、より特別な時計に、デザインとしても深みのある形になっているものかと思います。
状態
裏蓋に少し凹凸があります。
希少性
時計そのものは、無いものではありません。
ただこのように、はっきりとした彫りがあるものは、まず見かけることが無い珍しいものです。
贈り物
個人的には、この彫りを非常に魅力に感じますのでお勧めしたいところですが、同じように見てもらえるかは人によります。
備考