手仕事の美しさが光る
「十年一昔」とはよく言われるもので、10年経てばいろいろなことが変わりますが、それは時計にもよく当てはまっていました。
この時代の時計も、本当に10年違えばその作りが違う。
アンティークを扱う者からすれば、この言葉は、その時代時代を伝えていくことの大切さを教えてくれる言葉でもあります。
このエルジンの金時計は、そんな10年に込められた物語がそこに表れているように美しい懐中時計です。
年代的にその「ひと昔」が違う作りのもので、それが伝わってくるのは、時計のケースをご覧いただいた時でしょう。
ただただ繊細に、細やかに丁寧に、絵画のように描かれた模様の一つひとつ。
のちの時代に作られたものとは、本当に一線を画し、職人の技術の違いすらまざまざと見せつけてしまうもの。
手仕事の良さは、そこに込められる想いと、その一瞬の違い。
文字を書く時のその筆の違い、そして手を運ぶ力と速さ、それらすべてが違いを生み出します。
それと同じように、ここに彫られた模様や線も、良く見ればそれぞれが違い、しっかりとした個性を感じさせてくれるもの。
両面に描かれている模様をよくご覧になられてください。
普通に考えれば、模様や彫りは、その円の枠の中に収められるものですが、その彫りの勢いをそのままに、その円をはみ出しても、その図に勢いを乗せたまま描き切っているところに、手仕事の美しさを感じずにはいられません。
モチーフが良いことはもちろんのことながら、線の強弱や勢い、まるで絵画を楽しむように、そこに込められた職人の技と想いを楽しむことができるのが、この時計の良さと言えるでしょう。
またこの時代ならではの陶製の文字盤にブルースチールの針という作り。
シンプルではありますが、この時計の雰囲気に良く合った、シャープな印象の落ち着きを感じさせるもの。
ケースの華やかさと渋み、それをうまく活かしきった組み合わせです。
店主のワンポイントと評価
総合評価
素材の良さや作りの良さは、写真からでも伝わるもので、この時計はどのように写真を撮っても映えるもの。
しっかりと厚みを持ったケースで、しっかりとした素材が使われているのも、やはり良いものであった証。
良いものをとこだわられる方にとっては、デザインとしても素材、芸術的な美しさという点からも、非常に評価のできる1点でお勧めです。
状態
特記事項はありません。
希少性
年代的に古いもので、かつ手仕事の作りやデザインの良いもの。
片面にだけ1頭の蝶が描かれている様は、なんとも優雅で上品なものです。
まったく同じものは入手することができないものです。
贈り物
アンティークならではの作りの良さや、その違いを感じていただける、非常に作りの良いものです。
金無垢かつ100年以上前の懐中時計ということでの価値も上乗せされ、贈り物として非常に喜んでいただけるものです。
備考
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