黒と銀の美しい装飾と色使い ロンジンの銀無垢アンティーク懐中時計 【1899年製】

３世紀をまたぐ１９世紀の懐中時計

１９世紀という一つの世紀が終わるその前に、現代からすると３世紀に渡って伝えられているロンジンの懐中時計。
その３世紀という時代の流れが、強く感じられる作りをしている懐中時計かと思います。
現代でいうところの大量生産といった、そういった言葉の欠片も感じられない、人の手の温もりが感じられるその作り。
機械による大量生産時代を前にして、職人の技術や文化が最も華やかだった時代ともいえるかと思います。

こういった懐中時計にも、同じものを正しく正確に作るのではなく、出来上がりの姿を想像してそこに辿り着く。
そんな職人時代の技法やデザインが盛り込まれている懐中時計、時計そのものが宝石のように見える、そんな魅力あふれる１点です。
金や高価な宝石ではなく、銀だからこそ表現できるものがある。
この手間と技術が、時計自体を宝石のように見せるというもの。
お分かりいただける方なら、その価値が直感的に伝わってくるかと思います。

ケースの美しすぎる装飾

傑出しているのは、銀時計という銀素材の妙を用いた、そのデザインの特別さ。
時計の裏面は写真からもご覧頂ける通りですが、時計の表面そして側面にまで、しっかりと凹凸が利いた彫りがびっしりと全面に。
そしてデザインをよくご覧頂くと、深くなったその面は銀特有の黒ずみを残し、施された装飾がまるで浮かび上がるかのように存在感を見せる。
この時代ならではの白色の文字盤に、豪華な時計の針、そしてこれもまた変わっている部分ですが、リューズが付いた首の部分といえるような箇所、そして吊り下げる輪の部分にもしっかりとその装飾が施されているのは、こういった手抜きの無かった時代ならではのもの。
持っていて楽しい・見ていて楽しい懐中時計かと思います。

店主のワンポイントと評価

総合評価　A+

銀時計特有の黒ずみという点を、時計の装飾・個性として組み込んだ懐中時計ですので、こちらではケースは磨ける部分のみ磨いています。
あくまで内側の黒ずみを残して、銀の彫りをはっきりと浮かび上がらせる。
それこそがこの懐中時計の味であり、磨き切らない美しさ、それを楽しんで頂きたい１点です。
アンティークで人気のあるロンジンというメーカーの時計でもあり、当時はもちろんのこと、現代のアンティーク好きの方に気に入ってもらえる理由が、この時計からも伝わってくるのではないでしょうか。

状態　A+

特記事項はありません。

希少性　A+

特殊なデザインであまり数のあるものではありません。
ロンジンの機械ですが、アメリカの宝石商BLAIR & CRAWFORDの店名の刻印が入っています。

贈り物　A+

時計を持って頂くと、その彫りやデザイン性の良さに感動して頂ける１点だと思います。
現代で依頼して作ってもらう、そういった単純なものではなく、この時代のこの時だからこそという魅力がある懐中時計で、贈り物としても非常にお勧めしたい１点です。

備考

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