プライベートでの相棒として
近年になって復興された、古き歴史ある時計ブランドである「H.モーザー」。
当時の高級時計メーカーとの関係から、昔から時計マニアや時計好きの方に人気のあるブランドで、近年では、自社製の機械を搭載する高級ブランドとして復興されていることで、人気になっているブランドでもあります。
この時計は、そんなモーザーの懐中時計時代の味のある作りが楽しめる1点。
黒い文字盤に黒いケース。かといって完全に真っ黒というわけではなく、風防(表のガラス)回りには金色のふちどりがされていて、この時代の時計メーカーらしく、黒一色とは言え、デザイン的なこだわりが見えるのが、この時代のアンティークの面白さ。
一般的な陶製の文字盤とは違って、黒を全面にして文字を白抜きにしている特殊な作りのものです。
また針がローズ色になっていることにも意味があり、この時代の針の主流であるブルースチールでは背面が黒なので見づらい、かといって金色の針ではこの時計のデザインに合わない。
この色使いの組み合わせもまた、この時計ならではのもので、この時代にあるもので、かつ特徴的に実用的にと作られた、こだわりが感じられるものでもあります。
銀や金などの貴金属が用いられたケースではないため、色の剥げ等が見られますが、この時計に関してはこれも時計の味であり醍醐味。
アンティーク時計ならではの古さであったり、程よく枯れた「西洋骨董」という、古い言葉が良く似合います。
軍支給品の刻印はありませんが、デザインや配色から、当時の軍用時計であったと思われるもので、当時モーサーの販売先であったロシア向けに販売されたもの。
上品な「アンティーク懐中時計」とは一味違って、ジーンズやミリタリー系など、カジュアルな服装に合わせて楽しんでいただける、違った趣きの懐中時計です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
スーツに合わせていただたり、ジャケットに合わせていただくような、上品かつアンティークらしい懐中時計というのは、お持ちの方ならお持ちになっているものです。
でも、ジーンズなどプライベートのカジュアルな装いに合う、そんな懐中時計にもこだわってみたいもの。
そのように考えられていらっしゃれば、この時計がまさにそのご希望に適う物。
時計の使い道や着こなしていただいている姿が、容易に想像していただけるものだと思います。
このまま懐中時計としてお使いいただいても面白いものですし、懐中時計を腕時計として使える革バンドなどに収めていただいて、大型のカジュアル時計として楽しんでいただくのも1つの手だと思います。
ブランドとしても、アンティークではすでに無くなっているブランドも多いのですが、近年になって高級ブランドという名目で復興された現存するブランドであり、そのアンティーク時計ということで、レア感を楽しんでいただけるというのも、この時計・ブランドのポイントでもあります。
状態
ケースが貴金属ではない、一般金属であるため、くぼみや傷・黒い色の変色が出ている箇所など経年や使用による劣化があります。
ただそれらは素材に起因するものであり、この程度の経年劣化であれば、当然起こりうるものでもあります。
この時計の雰囲気を考えると、マイナス面として考えていただくものではなく、ほど良い雰囲気が醸し出されているものとして、プラスに見ていただくものです。
また文字盤の11時の外側に、わずかに黒い色が剥げて白い下地が線のように見えている箇所がありますが、表側の枠を付けると、ほとんど見えなくなる部分でもあり、素材を考えるとこれでも非常に状態の良いものです。
希少性
メーカーとして珍しいものということもありますが、年代や作りの特殊さ、状態の良さも加わって、非常に希少なものです。
贈り物
近年に新しく復興されたメーカーということで、贈り物としては、そのブランドの持つ価値がお分かりいただきにくいものかもしれません。
そういった特殊なブランドについてご存じの方や、古い状態についてご理解のある方にはお勧めいたしますが、この商品をご覧いただいているお客様のほうがその価値は良くお分かりいただけるはずですので、ご自身へのプレゼントにお勧めしたいものです。
備考
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