懐中時計時代の上品さを腕時計に
懐中時計がより広く使われるようになった、アンティークが華やかな1900年から1920年代頃。
懐中時計の普及と同時に、腕時計の時代へと移り変わっていくことになりますが、その移り変わりは現代とは違い、緩やかに進んでいきます。
小さな懐中時計の機械が腕時計の元になり、そこから腕時計は機械自体も作りや形を変え、腕時計として独自の進化をしていく。
懐中時計と腕時計の狭間の時代、その過程の中で、それぞれの良さが活かされた腕時計が生み出されることになります。
アンティーク時代の美しさが伝わる
懐中時計が作られていた時代は、時計もまだまだ人の手がしっかりとかけて作られていた時代。
ケースにこだわり、そして文字盤にもこだわり、そのこだわりが、その後に作られていく時計とは、明らかに違う特徴や個性となる。
まるで芸術作品・美術品のような、非常に美しい懐中時計を見ることができるのも、先達たちのこだわりの賜物。
この腕時計もそんな時代だったからこそ生まれたもの。
美しい青・水色という色合いの文字盤に、銀の装飾を施したもので、とても綺麗なデザイン。
懐中時計全盛期に培われた技法ですが、それが一つの時代の終盤に差し掛かって花開いたという、短い時代だけ・限られた時計に見られた特徴でもあります。
時計の針にしてもまた、繊細かつとても豪華な作り。
これもまた、懐中時計時代の華やかで美しい一つの形。
この針があることで、この時計の文字盤もまた、さらに一段とその魅力を輝かせるというもの。
腕時計のケースもまた、この時代ならではのもの。
シンプルな作りのものですが、ワイヤーラグというスタイルで、腕時計のバンドを巻き込むように留める作り。
現代のようにバネ棒でバンドを留めるものとは、違う作りになっています。
店主のワンポイントと評価
総合評価
腕時計は着けたいものの、新しい時計にはあまり魅力的なものがない。
現行品・新作と呼ばれるものは、どうしても流行を追うものですから、どうしてもどのメーカーも同じ様なスタイルになりがちです。
この時計は「腕時計をしたい」という気持ちに、すっと入り込んでくれる腕時計ではないでしょうか。
アンティークだからこそ楽しめる作りであり、そのこだわりが今の自分のこだわりになる。
時間を見ることが楽しくなる、用もないのに時間を時計を見てしまう、そういう意味でも価値のある1点ではないでしょうか。
拡大した写真では、文字盤の色合いが粗く見えますが、実際に身に着けた時に見える色合いは、写真の中でも遠めに写っているもので、綺麗なムラの無い水色という色合いです。
写真ではとても大きく拡大しているため、小さな色の粒やムラが見えますが、このような発色をさせることの難しさが、拡大されることで伝わってきます。
状態
使用による軽い傷などはあります。
希少性
作りやデザイン自体も特殊、かつ状態の良いものとなると、希少な1点になります。
贈り物
腕時計として、明らかな違いが見えるそして感じることのできる1点。
その個性や特徴は、現代の腕時計とは大きく違い、美術品のような時計が、腕でコチコチと音を立てて動くさまは、とても感慨深いものです。
雰囲気や外観からだけで、その価値が伝わる腕時計です。
備考
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