ロンジンの縦長かつ幅広のアンティーク腕時計 【1949年頃】

幅広で角のある特徴あるデザイン

まずはやり気になるのは、ケースの形の違い。
どうしてこんなに鰓が張っているんだろう？と思うようなほど、横幅が大きめだと思われませんか？
それはこのケースの作りの違いから。
正面からご覧いただくと、時計の左右の４つの角付近に、少し出っ張りのような部分があることがお分かりいただけると思います。
これがあることで、横幅が広く感じられるという点が１つで、またもう１つは、時計のラグ部分（バンドを留める足のような部分）も、通常であれば比較的細めであるのですが、ラグを細めることをせずに面を作って流し、ケース横の出っ張り部分とデザイン的に組み合わされているような形になっているから。
時計の文字盤としての面が少し小さくなっていながら、ケースそのものに非常に存在感があるのは、このような作りになっているからです。
アンバランスになりそうなところですが、それをうまくデザインとして仕上げているのは、そこはロンジンの成せる技といえるところでしょう。

また時計を斜に構えた時などに、時計に入る陰影がなかなか綺麗なもので、とても雰囲気がある姿になります。
屋内ではわかりにくいものですが、文字盤の陰影や色味など、そのような点でも楽しみのある１点です。

普通でない「ロンジン」のらしさ

現在の大手時計メーカーに共通して言えることですが、「当たり障りのない」というデザインが主流。
ロレックス・オメガ、またロンジンにしても、比べてもあまり差が無いというのが実際のところ。
ところが、アンティークと呼ばれる時代には、ロンジンは定番もありながら、デザイン的な「挑戦」をするメーカーでもありました。
それが、現在になっても、アンティークでの「ロンジン」に人気があることの理由でもあります。

この時計は、そんなロンジンらしさがくっきりと浮かび上がる１点。
写真からでは一見すると、ただの長方形の腕時計のように見えるかもしれません。
ところがこれが上手い具合に、ところどころに特徴を盛り込んであるため、明らかにデザイン的な違いが生まれています。

店主のワンポイントと評価

総合評価　A-

アンティークらしい個性のある１点だと思います。
着けて頂いて雰囲気の良い物でもありますし、持っている時計のスタイルと、あまり重複しないものだと思います。
気軽に着けて頂きやすいということでも、普段使いや最初のお試しの１本としてお勧めです。

状態　A-

文字盤に小さなくぼみがあります。
身に着けた状態では、あまりわからない程度のものですが、念のため拡大した写真を掲載しています。

希少性　A-

無い物ではありませんが、状態の良いものとなると入手は難しくなります。

贈り物　A-

贈物としてもお勧めできないわけではありませんが、文字盤の状態をどう取られるかでしょうか。

備考