巻き戻される時代の魅力
時計の本や時計売り場を、時々でもご覧になられている方なら、この時計をご覧頂いて「おっ?!」と思われたかもしれません。
その時々の時代にもよりますが、この時代のアンティーク腕時計、実はその魅力から復刻されることがあるのです。
それもそのはず、写真からも伝わるように、現代の時計とは大きく一線を画したデザイン・スタイルの違い。
とても上品でかつ風格すら感じられるのではないでしょうか?
時代的には腕時計に移行が進む時代でありながら、懐中時計時代のその手法がその中に生きている。
白色の陶製の文字盤しかり、そこに描かれる特徴的な書体の数字であったり、はっきり・くっきりとわかるコントラストであったり。
柔らかな丸みを帯びた金のケースに、ワイヤーラグというバンドを留めるワイヤー状になった部分、これも年代ものの作りです。
写真からも伝わるように、時計に「時計として」の個性がある。
なんとも楽しみ甲斐のある1本だと思われませんか?
広く知られているオメガでありながら、誰もが知る「オメガ」ではない。
100年に近い時を経て、現代にたどり着いた、歳月が織りなす古美術という1点です。
古いのに目新しい
古いのにとても新鮮に感じる、とても目新しい。
こういった感覚は、現代はもちろん昔も、同じように連綿と続いてきた感情でしょう。
年を重ねるごとに、そのものの深み・良さがわかる、また若い方にとっては、現代にないもの・その世代で見ていないものだから、よりダイレクトに伝わる感動があります。
ぐるぐるとハンドルを回して開けていた昔の車の窓、白黒でダイアル式のテレビ、電話をダイヤルしてメッセージを送るポケットベル。
この文を読んで頂いて、それがお分かりいただけるのは、「それがわかる年代」だから。
それらを見ていない若い世代の方に、実際に見てもらうと、「うわー」という感動の声が上がります。
まったく知らない年代の方にとっては、それらは古いものでありながら、まったく新しい感動として伝わるからです。
手巻き時計も実はそんな年代ものとなった1つ。
ぜんまいを巻く、リューズで時間を合わせることの楽しみ。
こういった感動を楽しんで頂ける、そのものを所有して「使って」楽しめるのが、アンティーク時計の良さ。
ふっと考えると、なるほどと思っていただけるのではないでしょうか?
店主のワンポイントと評価
総合評価
「嗚呼、オメガだな。」
そんな言葉が出てくる、ニヤッと楽しんで頂ける1本だと思います。
やはりこの年代の腕時計、その後の腕時計はもちろん、現代の時計とも明らかにその作りが違います。
定番の丸形と言っても、その形は明らかに現代の新しい時計ともまったく違い、この針の形はもちろん、時計から醸し出される雰囲気が違います。
誰もが持っている定番になったオメガとは違う、腕時計に魅力を感じられなくなった方にとっても、腕時計の魅力を再確認していただけるデザインでしょう。
時計を留めるバンドは、現代の「バネ棒」タイプではなく、ワイヤーラグという巻き込んで留める特殊なタイプ。
この時計にこだわられるのであれば、バンドもお気に入りの色柄でオーダーメイドで楽しみたいところ。
パッケージとして用意された時計ではなく、一から自分に合わせて作るという楽しみ。
そのオリジナリティ、自分という個性に溢れたアンティーク時計を着ける、また見せて話して楽しんで頂けるのも、このような特別な時計ならではのものです。
状態
数字の1の近くに小さな黒い点がありますが、製造時の数字の塗料の飛沫です。
100年近いアンティークですので、小さな傷などはありますが、ほとんど気にならない程度のものです。
希少性
年代的に作られていた数自体が非常に少なく、金無垢ケースで破損の無い文字盤等、状態面でも希少な1点です。
贈り物
オメガなど時計を複数お持ちの方でも、このようなスタイルの時計をお持ちの方自体が珍しい時代のもの。
その雰囲気やデザイン、メーカーや素材等をとっても、喜んでいただけることの間違いないものですが、バンドもオーダーメイドなどで合わせてプレゼントしていただくと、よりその価値を楽しんで頂けるものだと思います。
当時としては男性用ですが、アンティークの時計は比較的小ぶりのため、女性にも合わせて頂けるサイズです。
備考
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