粋なだんさんの懐に
古い書斎の机の上に、コトンと置かれる懐中時計。
障子にハットにボンボン時計。夏の昼下がりに扇風機。
そんな古い映画のようなワンシーン。
上方風に言えば、着物姿の「粋なだんさん」の懐に入っていそうな、そんな情景が思い浮かぶ懐中時計ではないでしょうか。
色鮮やかな組み紐と合わせて。
小粋に洒落た姿で、お気に入りの懐中時計を楽しむ。
「普通のモノは要らないよ」、趣味の世界は、自分の世界を作るには、そうやって楽しむのが一番。
そんな楽しみ方をしていただくのに、お勧めの1点だと言えるでしょう。
美しい構成と幾何学模様
取り出された懐中時計を見て、「さもありなん」そんな言葉を言ってみたくなる。
見るからに明らかにその違いがわかる、そんなゼニスの懐中時計。
時計の顔である文字盤側を見ても、ある種の雰囲気の良さが香るように伝わる。
表面また裏面にも施されているコインエッジ、そしてケースの側面に施されたアンティークらしさが光る模様。
くるっと時計を裏返せば、そこには菱形を連ねた幾何学模様が並ぶ。
ただ単に菱形に区切っただけではなく、よくご覧いただくとまるで2色になっているよう。
それは、平面無垢のものと、縦に細かな模様を施したものの2種類が並べられているから。
同じ形ではありながら、そこに少し工夫を加えることで陰影によって生み出される、まるでチェック柄のような色変わり。
側面の模様や全体の構成などとの統一性も見事なもので、単なる模様に留まらない上品な魅力を醸し出しています。
店主のワンポイントと評価
総合評価
見てすぐにわかるのが、物の良さであり品の良さ。
機械式の高級時計メーカーとして、現在でも知られるゼニス。
この時計が作られたのは、今から100年以上も前のことですが、この時代からその片鱗が見えるかのようです。
古いだけではなく、名前もその雰囲気からも、品の良さと楽しみのある懐中時計です。
状態
特記事項はありません。
希少性
ケースのデザインや装飾面・メーカーとしても、珍しい部類に入るもの。
この当時の作りの1つの技法ですが、小さなサイズの機械を入れて、時計自体の厚みを減らすという工夫が取られているのも、見えない部分として面白い物でしょう。
贈り物
メーカーとしての名前、アンティークとしての風格、デザインの特別さなど、楽しみのある懐中時計。
贈物としても、とてもお勧めできる1点です。
備考
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