全面を覆う美しい色合いと模様
金色もしくは銀色の懐中時計。
一色のシンプルな色合いというのが、懐中時計のイメージではないでしょうか?
当店のアンティーク時計をご覧頂いている方なら、それ以外の選択肢があるのもご存じかと思います。
この懐中時計のような、黒金装飾もその特殊な技法の1つ。
「ニエロ」という技法で、古い宗教画やジュエリーなどにも使われていたもので、ごく短い期間だけ懐中時計にも採用されたことがありました。
同じものをいくつも作るという大量生産されたものではなく、そのほとんどが限られた数だけのもの。
その数の限られた中でも、そこに表現されるモチーフやデザインも大きく違い、色合いや質感に好感が持てても、なかなか自分の好みに合うものが見つからないという特殊な素材のものでもあります。
黒金装飾の色合いは写真でご覧頂けるように、角度や光によって黒や青黒・濃い銀色に見える素材で、見た目にも味のあるものです。
もう1つ特筆すべきところは、全面の装飾の状態の良さ。
欠けなどがなく、その点でも貴重なものかと思います。
銀の上に施されている装飾ですので、ケース自体は磨いていませんが、とても深みのある色合いです。
ゼニスの100年物
高級時計メーカーであるゼニスの100年物で、その幾何学的な模様に特徴のある1点。
現在のゼニスからは、想像もつかないものではありますが、その当時を知ることのできる現存する「現物」。
その当時の定番である、銀のケースに陶製の文字盤、そしてブルースチールの針。
ケースの内側には、1900年にパリで受賞した旨が刻印され、普段は見ることのできない部分ですが、見えないところに手をかけるている、昔ながらの作りに好感が持てる1点です。
他店で販売されているものの中には、「懐中時計」そのものが受賞したように書かれているところもありますが、ゼニス社が受賞したもので、個々の時計ではありません。
店主のワンポイントと評価
総合評価
銀時計や金時計というのは良くありますが、技法やデザインにこだわれる懐中時計となると、その数は限られてきます。
特に貴金属特有の「光る」という色合いではなく、日本的・和風なイメージに合う、こういったいぶし銀という色合いは、秘密の宝物といった感じで楽しんで頂けるものかと思います。
状態
装飾面の状態も素晴らしく、全体的な状態のとても良いものです。
希少性
このように綺麗な状態で残っている黒金装飾のケース自体が珍しく、状態面だけでも非常に珍しいものです。
贈り物
アンティークの中でも特別感のある1点で、贈り物としてもお勧めの1点です。
備考
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