縦長八角形 エルジンのアンティーク腕時計 【1929年頃】

時代の向上心と探求心が伝わる

この時計をご覧頂いて、お気づきになられた点がありますね。
八角形のケースに、当然のようにそれに合わせた八角形の文字盤に、そしてさらに八角形の風防。
「変わった時計だな」、そう思われるのはもちろん当然のこと。
しかしながら現代からすれば、こういった形を作ること自体、それほど難しいことではないでしょう。
でもこのような特殊なデザインの時計はごくまれな存在で、現行品の時計はどこか似通ったものばかり。

「非効率」、現代で言えば、その一言で片づけられてしまうかもしれません。
だからこそ、このような特殊な時計は現在ではほとんど見ることができません。
確かにその通りで、このような特殊なものを作り上げるには、ガラスはもちろんそれこそ１から作り上げなければなりません。

ですが、この時代は「腕時計」が主流になり、腕時計というスタイルが何であるのかを作り上げていた時代。
出来ることをできる限り、腕時計とはどうあるべきか、他社との違いを生み出すために切磋琢磨されていた時代。
こういった時代だからこそ、このような面白い時計があると言えます。

外観の魅力

八角形という特殊なスタイルこそが、この時計の魅力であるのは間違いのないところ。
回りを見渡しても、このような特殊なデザインの時計をされている方を見かけることは、まずほとんどないでしょう。
それこそ、この時計が目に留まれば「何だろう？」と興味を持ってもらえること間違いなしの特別さです。

形として特殊なことはもちろんながら、時計の全体的なデザインとしても面白く、形の特殊さと対比するようにシンプルな内側のデザインも挙げておきたいポイント。
ブルースチールの針、金色のインデックスなど、この時代ならではのデザインが、時計の形・デザインと非常に良く融和しています。
カジュアルなミリタリー的なバンドを取り付けてありますが、このような合わせ方も似合う、多面性・面白味のある１点です。

店主のワンポイントと評価

総合評価　A

どなたにでもお勧めできる、という形・デザインではないものです。
ですが、そういった点を差し置いても、魅力を感じていただける１点であることには間違いないものです。
あの人はこんな時計、あそこの人はあの時計、でもそんなことはどうでも良い、自分が楽しめる時計をしたい。
時計を見るそして見せて楽しむ、合わせるバンドやスタイルを考えるのが楽しい。
そう思って頂ける方には、非常に魅力のある腕時計です。
当時としては男性用でサイズ的にも少し大きめですが、着けた写真を見て頂いても、女性用としてファッション的に面白いものだと思います。

状態　A

特記事項はありません。

希少性　A

ケースも含めて状態良く残っているものが珍しいもので、特殊な形の風防もプラスチックではなくガラスです。

贈り物　A-

時計のデザインとして特殊なもので、贈り物としては贈る方のご希望を聞いて頂くことをお勧めします。
ただ針の形１つとっても特別で、「個性・魅力」というところでは、明らかな違いを楽しんで頂けるものです。

備考