時計「くさい」という魅力
「男くさい」感覚的に悪い意味で受け取られる言葉ですが、男らしいという意味にも取れます。
このエルジンの腕時計は、言ってみると「時計くさい」腕時計ではないでしょうか?
綺麗な特別な、そんな良い言葉でこの時計を説明させて頂くのも良いのですが、この「時計くささ」というのがこの時計の魅力だと思っています。
この時代のくすんだような色合いの文字盤で、綺麗な状態でも良いのですが、この時計に限って言えば、今のこの色合いが出色。
何もない新しい色では、この時計の魅力が十分に出ない・伝わらないものになるのではないかと思います。
くすんだ色合いであって、経年変化・変色を起こしている、今の状態こそがこの時計の良いところ。
時計に程よい深みを与え、色合いまた雰囲気としても、総じて良く仕上がっていると言えるでしょう。
明らかに違う作りにも味
40年代になると、時計の形としても完成に近づいていきますが、この時代の時計は愛嬌があって個性が立っています。
後年になると、機械の質も変わっていきますので、時計自体も薄くなりますが、この時代はこの厚みがデザインの特徴の1つでもあります。
機械自体が厚いのでケースも厚い、この厚さの中でどうデザインするのか。
そんな試行錯誤が見えてくるようで、とても愛着の沸く腕時計かと思います。
ケース上下の独特な作り、そして中央で広がるケースの形、ケース側面の装飾。
立体的な金属製のインデックスに、蛍光の針など、後年の時計の作りと比べると、はっきりとした違いがあります。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計として見た時に、万人受けするデザインでないのは確かです。
しかしながら、色合いや雰囲気にとても魅力がある1点で、他とは比べられない魅力があると言ってよいものだと思います。
写真だと文字盤の変色部分も気になるかもしれませんが、大きく拡大した写真で目立つ状態での撮影です。
実際に見てみると、時計のデザインとよく調和していて、目立つというより良い雰囲気になっていると感じられると思います。
ちょっと変わった腕時計、この経年の出方を楽しんで頂ける方にお勧めしたい1点です。
状態
この時計の魅力と言えますが、文字盤に経年変化・変色が出ています。
ケースの内側で機械もカタカタと動きますが、パッキンなどで留める・緩衝するという時代より前で、これもこの時計の味といったところです。
希少性
年代的に数も少なく、特殊な形ですので、比較的珍しいものです。
このように経年変化を楽しめる、綺麗な状態で残っているものもあまりありません。
贈り物
アンティーク・古びた感じがお好きな方にはお勧めできる1点です。
備考