ロンジンそして本当のアンティーク時計好きに
ロンジンは時計メーカーの中でも、数々の賞を受賞し信頼と人気を兼ね備えた、歴史の古いブランドの1つ。
この時計が作られたのは、創業からまだ20年と経たない1887年で、ロンジンの本当の初期の頃。
各メーカーがやっと古い時計の作りから脱却して、これから本格的な懐中時計の普及期に入る直前という時代のものです。
まだまだ旧態依然な古い作りの機械が多い中、一足早く世代をまたいだもので、その時代のロンジンの良さを象徴するものでもあります。
時計の作りとしても、その「古い時代」ならではの、作風と技術に溢れていて、とても魅力ある作りです。
文字盤の金銀、そしてワインレッドの深い赤を使ったデザインも秀逸で、現在のようにデジタル化された均一性のある線ではなく、拡大をしてみると、その線の加減や色味具合にも変化があって、非常に味わいがあります。
この当時の絵付けは、すべてが手作業。
これらの模様も、陶器などと同じように描かれたものであることを考えれば、この時計自体が陶器のような価値も併せ持つものといえるでしょう。
またケースに目をやれば、ここもまさに技術と技巧のたまもの。
裏面に施された羽ばたく鳥の構図もとても素晴らしく、そこから伸びる線とデザインに神々しさがあります。
非常に繊細で素晴らしい彫りを持ちますが、そこには鏨などの工具で打ち・彫られたことの証である、鋭い彫りの強弱が見え、手仕事でなければ出せない魅了が伝わります。
古くは時計が工房で、人の手によって一つひとつ作られていた時代。
この時計の作りを見れば、それぞれに多くの人の手がかかり、時計一つにどれほどの時間が掛けられていたのかがわかります。
現代では得ることのできない、作られることのないものであり、歴史的な美術品と言える作品です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
とても綺麗な時計で年代的にも素材・デザイン的にも珍しい希少なものですが、非常に古いものであるため、時刻合わせの方法が特殊です。
時刻を合わせていただくには、時計ケースの表面(ガラスの付いている枠)部分を開けていただかなければなりません。
写真でご覧いただけますが、文字盤右上に小さなレバーがあり、それを引いた状態でリューズを回すと、時刻を合わせることができます。
ご購入いただくお客様には、開け閉めの際には十分に気を付けていただくことと、この蓋を開けていただくための方法をご理解いただくことが必須になります。
この時計をご購入いただくお客様には、ご購入後のメンテナンス中に、別の時計をお送りして、蓋を開ける操作を練習していただけるようにいたします。
長く大切にお使いいただくため、時計を傷めることがないように、この点だけご理解いただきますようお願いいたします。
この時計については、手作りの美しさや味わいを楽しんでいただく方、手間をかけて楽しみたい方にお勧めしたい1点です。
状態
特記事項はありません。
希少性
綺麗な文字盤が美しく、年代的にもデザイン的にも非常に珍しいもの。
作られた年代的なことでも非常に珍しいものですが、作りやデザイン・状態の組み合わせとなると、本当に得難い希少品です。
贈り物
美術品・工芸品の域にあるアンティークで、飾っていただけるレベルのもので、非常にお勧めできる1点。
時刻合わせの方法が特殊ですので、贈り物としては、時計の扱いを良くご存じの方にお勧めします。
備考
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