ひと手間を楽しむアンティーク
懐中時計の中にも、年代によって「新しい」そして「古い」作りがあるのをご存知ですか?
後日のメンテナンスに困るものは、当店では扱わないようにしていますが、古いなかにも、「楽しめる古さ」があるものがお勧め。
この懐中時計のように「鍵巻き式」というスタイルは、こののちの物と比べると、ひと手間もふた手間もかかってしまうものながら、その手間が楽しいのが、アンティークの1つの醍醐味だと言えるでしょう。
鍵で巻くという楽しみ
この懐中時計の面白さは、サイズとしては比較的小さなものながら、鍵巻きという鍵で巻き上げる古いタイプの作りであること。
のちの懐中時計は、リューズで時刻合わせも巻き上げも行うのですが、その一世代前は、鍵で巻いて時刻を合わせる・ぜんまいを巻き上げるという作りでした。
裏側の蓋を開け、そこに見える2つの穴の中央に鍵を差し込むと、時刻を合わせることができ、もう1つの外側の穴に差し込んでぜんまいを巻き上げる。
わざわざ裏蓋を開いて、その上で別々の作業をしなければならないのですから、合理性という意味では、面倒な作業ではあります。
しかしながら、今の時代からみると、それは時計を「操作する」という楽しみになるのです。
時計の作り自体も、アンティークならではの品格を感じるもの。
銀無垢の綺麗な装飾が施されてたケースに、趣きのある陶製の文字盤に針。
古いスタイルだからという、手間を掛けて楽しんでいただける1点です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計に見られるケースの装飾は、古いスイス製の特徴でもありますが、心地よい古さを感じさせてくれるもの。
本来リューズのあるべき位置にあるボタンを押すと、蓋が開いて時刻を確認できるという形ですが、ローマ数字のシンプルですが、この時代ならではの作り。
時刻を合わせる・ぜんまいを巻き上げるには、裏蓋を開いて頂くわけですが、時計を片手に、鍵を使って操作する姿を思い浮かべて頂くと、こんな作業を楽しめる、そしてそういった姿を見せることができるのも、この時計の価値だと言えるでしょう。
状態
特記事項はありません。
希少性
シリンダー式と呼ばれる、年代の古いタイプの懐中時計ですが、当時の定番というスタイルです。
贈り物
細かな装飾を楽しんで頂ける点や、表側の蓋を開いて時刻を確認する際の姿もまた魅力的な懐中時計です。
年代自体も非常に古いもので、贈り物にもとてもお勧めできる1点です。
ただ鍵巻き式ということで、時刻を合わせるにも、ぜんまいを巻くにしても、少し手間のかかるもの。
「操作をする」という時間を、ゆっくりと取って頂ける方にお勧めします。
またシリンダー式という世代の古いタイプになりますので、ある程度の誤差は出てしまいますので、その点もご理解いただける方に。
備考
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